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鴻海のシャープ改革、黒字化の期限設けず


ニュース 電子 作成日:2016年8月23日_記事番号:T00065972

鴻海のシャープ改革、黒字化の期限設けず

 シャープ社長に就任した鴻海精密工業の戴正呉・副総裁は22日、抜本的な構造改革13項目を掲げ、早期の黒字転換を目指すと所信表明した。鴻海の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長は4月初旬の買収契約当時、人員削減をにおわせ、2~4年内に黒字化が可能と発言していた。戴シャープ社長は、大規模な組織改革は人員削減ではなく経営合理化が目的で、鴻海グループがシャープの部品の調達や製品の生産で支援すると述べるにとどめ、黒字化への具体的な期限は示さなかった。23日付経済日報などが報じた。

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 戴シャープ社長が記者会見で示したシャープの抜本的な構造改革は、▽分社化経営▽処遇改善によるモチベーションアップ▽R&D(研究開発)改革▽特許改革▽IT(情報技術)改革▽人事改革▽法務改革▽企業コミュニケーションと社会的責任の強化▽経営管理改革▽コスト意識の向上▽経理・税務改革▽財務改革▽サプライチェーン改革(物流、購買、在庫管理)──。特に社員向けメッセージでは、▽分社化経営▽商品企画・開発・販売の推進▽人事評価委員会の設立──の方向を示した。

 戴社長は、シャープは業績回復が優先課題で、まず分社化経営で責任と権限を明確にし、事業拡大を加速、今年の損失額を大幅に減らすことが目標だと語った。

 戴社長は、累積赤字1兆3,000億円に不安はあるが、大規模な組織改革、R&D投資を行い、鴻海がシャープの販路拡大を支援すると述べた。5月には最大7,000人の人員削減が取り沙汰されたが、戴社長は、シャープは世界に社員が4万3,000人おり、利益が出せれば全員を残したいと述べ、人員削減は最後の手段だと強調した。

 シャープは昨年8月から管理職は5%、一般社員は2%の給与カットを一律で行っていたが、戴社長は今年9月から一般社員に対し手当支給によって実質廃止し、管理職は成果に応じて支給する方針を示した。戴社長自身は役員報酬を受け取らない。

ブランド存続に全力

 鴻海がシャープに3,888億円の払い込みを完了した翌13日に社長に就任した戴氏は20日大阪入りし、21~22日に2日連続で経営戦略会議を行った。議題は下半期の損失をいかに減らすかで、21日の会議は10時間を超え、アイアンマンの異名を体現した。

 22日午前8時前から堺市の新本社1階ロビーの片隅で日本語で行った記者会見では、戴社長はiPadを手に、終始立ったまま話し続けた。これについて蘋果日報は、戴社長は郭董事長と同じで効率重視だと指摘した。 

 この場所にはシャープ創業者、故早川徳次氏の銅像があり、蘋果日報は、鴻海にシャープブランドを消滅させる考えはうかがえないと指摘した。