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イノラックス、世界初の8Kパネル量産


ニュース 電子 作成日:2016年8月24日_記事番号:T00066003

イノラックス、世界初の8Kパネル量産

 液晶パネル大手、群創光電(イノラックス)は世界で初めて、65インチの8K4Kテレビ用パネルを量産した。市場観測によると、ソニーから受注したほか、サムスン電子、中国のテレビブランドからの受注も狙っている。一方、友達光電(AUO)は現在ソニー、サムスンなどに8Kパネルをサンプル出荷している段階で、年末に量産に入る計画だ。ただ、NHKが8Kスーパーハイビジョン(SHV)試験放送を開始した以外、世界でほぼ応用例がなく、放送コンテンツの充実が8Kテレビ普及の鍵を握る。24日付工商時報などが報じた。

/date/2016/08/24/00top1_2.jpgイノラックスは世界初の8Kパネルで、より自然な映像が楽しめるとアピールした(24日=YSN)

 イノラックスはきょう24日開幕のタッチパネル・光学フィルム関連産業展示会、タッチ台湾2016(26日まで、台北世界貿易センター南港展覧館)で、解像度7,680×4,320でフルハイビジョン(フルHD)の16倍に相当する8Kの65インチパネルを展示している。

 AUOも65インチの8Kパネルを初めて発表した。曲率半径(R)4,000mmのカーブを描き、ベゼルレスの薄型設計で、スーパーハイビジョン放送の基準となる色域規格Rec.2020の90%を実現した。

/date/2016/08/24/00top2_2.jpgAUOの8Kパネルは、超薄型直下型LED(発光ダイオード)バックライトモジュールで、わずか20ミリメートルの薄さを実現した(24日=YSN)

 市場調査会社、ウィッツビュー・テクノロジーは、台湾パネルメーカーが8Kテレビ向け受注を競っており、下半期に8Kテレビの量産が始まると予測した。韓国パネルメーカーは年末に98インチの8K曲面パネル、65インチの8Kフラットパネルを発表する予定だ。中国のパネル最大手、京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)は65インチ以上の8Kテレビ用パネルを計画している。

日本、20年に普及目標

 ウィッツビューは、8Kコンテンツの充実がテレビ普及の鍵を握るため、8Kパネルが各社の成長の原動力になるのか、現時点ではまだ判断できないと指摘した。

 8Kテレビを視野に、シャープは昨年10月末、世界で初めて85インチの8K映像モニターを発売した。NHKは8月1日から、リオデジャネイロ五輪の8Kスーパーハイビジョン試験放送をBSで開始した。総務省は、2018年に8K実用放送を開始し、東京五輪が開催される20年に多くの視聴者が市販のテレビで視聴することを目標に掲げている。

 ウィッツビューはまた、8Kパネル対応のシステムオンチップ(SoC)がまだ少なく、4K用SoCに動き補償技術(MEMC)を搭載するしかないと問題点を指摘した。

有機EL推進、官民の足並み乱れ

 経済部は先日、フレキシブルアクティブマトリックス式有機EL(AMOLED)やパッシブマトリックス式有機EL(PMOLED)パネル産業発展に向け、工業技術研究院(工研院)の保有する特許を利用するなどし、官民で投資額1,000億台湾元(約3,200億円)を見込むと宣言した。ただ、AUOとイノラックスは23日、具体的な話し合いは全くないと表明した。中国、韓国、日本が国を挙げて液晶パネル産業に取り組む中、台湾メーカーは先進技術でリードしたいところだが、このままでは掛け声だけで終わると懸念の声も出ている。