公共レンタサイクル「YouBike（ユーバイク、微笑単車）」は31日午前５時から北中部６県市、全778カ所の貸出・返却ポートが使用できなくなり、延べ14万人の足に影響が出た。大規模なシステム故障が原因で、運営する巨大機械工業傘下の捷安特（ジャイアント）が150人を派遣して修理を急いでおり、きょう１日午前９時現在で471カ所が復旧した。午後５時までの全面復旧を目指す。通勤通学に借りようとしてサービス停止に気付いたと不満の声が相次ぎ、大規模トラブルはユーバイクが交通インフラとして定着している姿も浮き彫りにした。１日付蘋果日報などが報じた。

駐輪ポールに悠遊カードをかざしても反応せず、全く借りられない状態だった（１日＝中央社）

　ユーバイクの貸出・返却ポートは、▽台北市、257カ所（8,419台）▽新北市、304カ所（8,100台）▽桃園市、34カ所（784台）▽新竹市、15カ所（300台）▽台中市（iBike）、100カ所（3,000台）▽彰化県、68カ所（1,050台）──。台北市、新北市の211カ所（１日午前６時現在）をはじめ、他の県市でも大部分が復旧した。最寄りの貸出・返却拠点が利用できるかは公式サイト（http://taipei.youbike.com.tw/cht/index.php）やアプリで確認できる。

　ジャイアントは、サービス停止に陥ったことを謝罪し、あす２日と３日は初めの１時間の利用を無料とすると表明した。広報担当者は原因について、台中市と彰化県の貸出・返却ポートの駐輪ポールのソフトウエア更新でプログラムが突然壊れたためと説明した。エンジニアが駐輪ポール（１万7,317本）を１本ずつ確認しなければならず、貸出・返却ポート１カ所当たり１時間かかる。営業損失は100万台湾元（約330万円）と見込む。レンタルできなかった利用者が特定できないので、損害賠償は受け付けられないと述べた。

　ユーバイクは昨年２月にもシステムの故障で、７時間貸し出しができなくなったことがある。

タクシー利用が増加

　通勤にユーバイクを利用している男性は、突然使えなくなれば遅刻してしまうと話した。彰化県の市民は、返却したくても返却できないし、サービスセンターに電話しても誰も出なかったと怒りの声を上げた。

　タクシー最大手、台湾大車隊は、朝の通勤時間帯にタクシーの配車が５～10％増え、短距離の利用が多かったと話した。

ジャイアントに罰金検討

　ユーバイクは2009年３月、郝龍斌前台北市市長が公共交通機関のラストワンマイルとしてジャイアントに委託して推進し、６県市に広がった。ユーバイクの車体は黄色で統一され、同じく黄色の車体で「小黄（黄ちゃん）」と呼ばれるタクシーに対し、「小小黄」と親しまれ、通勤通学だけでなく、買い物や観光などの足として外国人旅行者にも利用されている。１日当たり延べ14万人が２万台以上を利用しており、サービス開始以来の累計利用者は延べ１億人を超えた。悠遊カード（イージーカード）などによる会員登録は600万5,481件だ。

　基本料金は初めの４時間が30分ごとに10元、４～８時間は30分ごとに20元、８時間を超えると30分ごとに40元。ただし、初めの30分は市政府の補助があり、台北市と彰化県は５元引き、新北市、桃園市、台中市は無料となる。

　ジャイアントは市政府に収入の15％を権利金として収めている。台北市政府交通局は、昨年の権利金は4,157万元だったが、他の県市は赤字が続いていると話した。台北市交通局は今回、最低21万元の懲罰的違約金を求める方向だ。

　１社が単独で運営しているとリスクが高いとの学者の指摘に対し、新北市政府交通局の王声威局長は、ジャイアントとの契約期限が到来すれば入札を行うと説明した。ただ、世界中の都市でレンタサイクルは１社が単独で運営しており、２社以上が担うとメンテナンスや管理などが複雑化すると話した。

　北中部６県市がユーバイクを展開している一方、高雄市、屏東県は高雄捷運（ＫＲＴＣ）に委託して「C－Bike」、「P－Bike」を、台南市は「T－Bike」を運営している。