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サムスンノート7発火事故、台湾部品の受注増へ


ニュース 電子 作成日:2016年9月6日_記事番号:T00066234

サムスンノート7発火事故、台湾部品の受注増へ

 サムスン電子の新型スマートフォン「ギャラクシーノート7」の発火、爆発事故の原因がバッテリーセルと認定されたことで、スマホブランドが部品の品質を改めて重視するようになり、台湾のバッテリーモジュールメーカー、新普科技(シンプロ・テクノロジー、SMP)、順達科技(ダイナパック)の受注が増えそうだ。サムスンはリコール(回収・無償修理)で新品と交換、または「ギャラクシーS7」や「ギャラクシーS7エッジ」と交換するため生産を急いでおり、放熱モジュールを供給する超衆科技(CCI)や双鴻科技(オーラス・テクノロジー)は緊急受注があったと明かした。6日付工商時報などが報じた。

/date/2016/09/06/00note_2.jpg写真を投稿した男性はノート7ユーザーに対し、交換するまで夜間は電源を切った方がよいと助言した(爆料公社フェイスブックより)

 サムスンが先月19日に発売したばかりのノート7はこれまでに250万台出荷し、台湾では4万台余りが売れた。販売価格は2万6,900台湾元(約8万8,600円)。9月19日から年末まで交換を受け付ける。

 ノート7発火事故は世界で35件を数える。5日には高雄市の男性がフェイスブック(FB)の「爆料公社」に、寝ている時に充電中でないのに爆発し、髪の毛まで燃えたと投稿した。台湾で初めてのケースだ。

 韓国メディアの報道によると、サムスンはサムスンSDI製バッテリーの採用をやめ、他社からの調達を決めたという。ノート7はバッテリーセルの7割をサムスンSDIが、残り3割はTDK傘下の中国の新能源科技(アンペレックステクノロジー、ATL)が供給しており、バッテリーモジュールの一部も中国メーカーが受け持っているとされる。

 あるアナリストは、韓国販売分はサムスンSDI製のバッテリーで、中国販売分はTDKのバッテリーを採用しているので安全性に問題はないと指摘した。

 業界関係者は、スマホブランドはコスト削減のために安い部品を採用することがあったが、ノート7の発火事故で、部品の品質や安定度を重視するようになると指摘した。シンプロとダイナパックは、従来よりアップルに供給しており、技術や品質が優れるため、多くのスマホブランドから受注が増えそうだ。

7対決、iPhone有利に

 サムスンは急きょ、交換用機種のサプライチェーンに発注を行ったとされる。放熱モジュールを供給するオーラスは、緊急受注はそれほど大規模でなく、いつまで続くかは分からないと説明した。

 サムスンは、アップルが9月に発表するとみられる新型iPhone7発表前にノート7を発売し、先手を打ったはずが、リコールに見舞われた。証券会社は、リコールに315億元かかり、今年の純利益の5%を失うと予測。学者は、経済損失よりブランド価値低下による潜在的な損失の方が大きいと指摘した。