新竹科学工業園区(竹科)の黄得瑞管理局長は7日、竹科の新たな支部団地として開発を進めている銅鑼園区(苗栗県銅鑼郷)について、既に企業10社より進出の意向を伝えられており、早ければ今年の年末に進出と工場建設を開放し、将来的には進出企業の生産額3,000億台湾元(約1兆円)、就業人口2万人へと発展するという見通しを明らかにした。環境基準を重視し、低エネルギー消費、低汚染の企業を優先的に誘致する方針だ。8日付自由時報などが報じた。
既に同園区への進出を検討している大企業としては、台湾積体電路製造(TSMC)の名前が挙がっている。早ければ来年上半期から、同社初のパッケージング・テスティング工場の建設を計画しているが、同社では、最終的な決定には至っていないとしている。
同日付蘋果日報は、米グーグルがアジアに設置を計画しているデータセンターの候補地の一つとして、銅鑼園区を検討しているという情報を伝えている。台湾以外では、マレーシア、ベトナムやインドなどが候補に挙がっているようだ。同データセンターへの投資額は1,000億米ドルに上る可能性があるという。
蘋果日報はまた、このほかに進出を検討している企業として、力晶半導体(PSC)や茂徳科技(プロモス・テクノロジーズ)などのDRAMメーカーの名前も挙げている。
低消費・低汚染を優先
園区全体の面積は350ヘクタールで、既に環境評価や用地の徴収業務が完了している。公共施設用地110ヘクタールと使わずに残しておく140ヘクタールを除けば、工場用の面積は100ヘクタールで、全体の3分の1という「低密度開発」だ。進出希望を表明している10社の用地を合わせれば、既に56ヘクタールに上るという。
開発後はハイテクメーカーを対象に誘致するが、ウエハーやパネル生産など、工業用水と電力を多く使用する企業は外し、低エネルギー消費、低汚染、かつ高付加価値の企業を優先的に選定する考えだ。黄局長は誘致したい業種として、「IC設計、先端パッケージング・テスティング、太陽エネルギー」などを挙げた。ただし、これらが本当に低エネルギー消費で低汚染産業なのか、業界からは疑問の声も上がっている。
銅鑼インター、11年供用か
進出を検討するメーカーが現在最も関心を示しているのは、同園区からの連絡道路、および中山高速公路(国道1号線)の銅鑼インターチェンジ(IC)がいつ完成するかだ。新設となる同ICについて黄局長は、「来年に入札、発注が行われ、2011年に供用開始となる」という見通しを示した。
同園区内には「客家文化センター苗栗園区」も建設され、年末の着工が予定されている。産業と文化を共存させようという姿勢も、同園区の一つの特徴と言えそうだ。