ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

TSMC世界初の3ナノ開発、20年代に量産目指す


ニュース 電子 作成日:2016年9月30日_記事番号:T00066626

TSMC世界初の3ナノ開発、20年代に量産目指す

 ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の劉徳音・共同執行長兼総経理は29日、5ナノメートル製造プロセスと同時に、3ナノプロセスも開発チーム300~400人を充てて研究開発(R&D)を進めており、2ナノプロセスにも着手したと表明した。1ナノプロセスも視野にある。TSMCは世界で初めて3ナノプロセス開発を宣言することで、インテルやサムスン電子に対するリード拡大に意欲をみせた。30日付経済日報などが報じた。

/date/2016/09/30/tsmc1_2.jpg

 劉共同執行長は同日、新竹市で台湾半導体協会(TSIA)の年次総会に出席し、「半導体のイノベーションと永続的経営」をテーマに講演した。まず、半導体の先進プロセス移行で回路線幅は細くなり、より多くのトランジスタを集積して高効率化を達成したが、「ムーアの法則」(半導体の集積密度は18~24カ月で倍増する)は7ナノプロセスで限界を迎えるとみられていたと説明した。その上で、TSMCは3次元立体構造でムーアの法則に立ち向かい、3ナノプロセスに向けまい進すると述べた。

 経済日報のまとめによると、TSMCは、5ナノプロセスは設備メーカーと研究開発方針を策定しているところで、南部科学工業園区(南科)のFab14工場を拡張し、2020年に量産する計画だ。3ナノプロセスも南科Fab14工場で2020年代に量産を目指す。一方10ナノHKMG(高誘電率膜・金属ゲート)立体構造トランジスタ(FinFET)プロセスは今年末~来年第1四半期に量産予定で、中部科学工業園区(中科)Fab15工場の第5~6期で生産する予定だ。7ナノHKMGプロセスFinFETは17~18年に中科第7~9期で生産する見通しだ。

研究開発費、台湾全体の11%

 劉共同執行長は、台湾の半導体業界は世界市場でシェア21%を占め、ファウンドリー、半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)は世界首位、IC設計は世界2位、メモリーは世界4位のため、顧客は台湾で完全な調達が可能だと述べた。TSMCはシリコンIP(知的財産権)、IA(産業オートメーション)設備、設備メーカーなどのエコシステム(ビジネスの生態系)とともに、技術と研究開発への投資を続け、台湾の半導体業界の世界最強の座を保持したいと語った。

/date/2016/09/30/tsmc2_2.jpg

 TSMCは昨年の研究開発費が650億台湾元(約2,100億円)と、台湾の上場店頭公開メーカーの研究開発支出の11.2%を占めた。TSMCの昨年の設備投資は2,580億元で、同21.4%だった。

今年の生産額、7%増へ

 TSIAの盧超群理事長は、世界半導体市場統計(WSTS)によると、今年の世界の半導体生産額は3,270億米ドルで前年比2.4%減の予測だと説明。一方、TSIAと工業技術研究院(工研院)産業経済趨勢研究センター(IEK)によると、台湾半導体業界の生産額は7.2%増の2兆4,300億元の予測で、世界市場シェア23%を占める見通しだと述べた。

【表】