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蔡総統の双十節演説、中国に対話再開要求


ニュース 政治 作成日:2016年10月11日_記事番号:T00066811

蔡総統の双十節演説、中国に対話再開要求

 辛亥革命記念日(双十節)の記念式典が10日午前、台北市の総統府前で開かれ、蔡英文総統は中国に対し、対話再開を強く求めた。ただ演説内容は総じて5月の総統就任以降の立場を繰り返したもので、新味はなかった。11日付経済日報などが伝えた。

/date/2016/10/11/18cai_2.jpg蔡総統は、演説の中で「現状維持」を3度使った(10日=中央社)

 蔡総統は中台関係について、「現状維持が有権者に対する約束だ。就任演説で述べた内容は一句たりとも変わりがない」と強調。その上で、中国に対し、「中華民国が存在している事実と台湾人民の民主制度に対する固い信頼を正視し、両岸(中台)は早期に対話の席に着くべきだ。両岸の平和的発展、両岸人民の福祉に利することであれば、何でも話し合うことが可能だ」と呼び掛けた。

 中国側が蔡政権に受け入れを迫っている中台の「1992年の共通認識」(92共識)については、「われわれは92年に両岸両会(双方の窓口機関)が会談を行った歴史事実を尊重し、両岸は92年以降、20年余りの交流、交渉で積み重ねてきた現状と成果を大切にし、両岸関係の平和で安定的な発展を促進すべきだ」と述べるにとどまり、92共識の受け入れを明言しない姿勢を維持した。

 その上で、92共識の受け入れを迫る中国の圧力を念頭に「我々は圧力に屈することもなければ、対抗へと逆戻りすることもない」と強調した。

中国は「92共識」改めて強調

 中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)の安峰山報道官は蔡総統の演説について、「両岸関係を92共識に基づき改善、発展させていくという方針に変わりはない。台湾独立という分裂行為に反対し、それを抑止していく強い意志は揺るがない」とした上で、「92共識の受け入れは善意の試金石となる。92共識の歴史的事実を認め、核心的意義に賛同しさえすえば、両岸は平等な立場で交渉可能だ」との従来の立場を強調した。

馬前総統も「92共識」受け入れ要求

 式典にも出席した馬英九前総統は談話を通じ、蔡総統が「現状維持」を強調した点を評価する一方で、「『92共識』と『一つの中国、それぞれの解釈(一中各表)』は現状の一部分であり、それを否定するならば、現状維持の約束を繰り返し表明しても中身のない約束だと外界に受け止められることは避けられない」と主張した。

中台の通信産業連携会合は中止

 中台間では中台の通信産業による産業連携会合が17日から4日間の日程で予定されていたが、中止が決まった。

 中国側が台湾の蔡英文総統が92共識を受け入れないことを理由に会議出席者のレベルを大幅に引き下げる意向を示したのに対し、台湾側は次官級の対話を要求。中台間の事前調整は不調に終わった。これにより、馬政権下から続いた同会合は中断の危機に直面した。