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「ポルトガルガキ」は台湾生まれ、科学誌で発表


ニュース 社会 作成日:2016年10月21日_記事番号:T00067027

「ポルトガルガキ」は台湾生まれ、科学誌で発表

 蚵仔煎(台湾風カキ入りオムレツ)をはじめ、台湾でもさまざまな牡蠣(カキ)料理が食べられるが、「日本のものより小ぶりだ」と感じることはないだろうか。もともと台湾産のカキは日本の「マガキ」と同種と考えられていたが、近年の調査により、実はポルトガルが原産とされる「ポルトガルガキ」と判明。しかもこのほど、ポルトガルガキは台湾が故郷である可能性が高いとの研究論文が有力科学雑誌で発表された。

/date/2016/10/21/18oyster_2.jpg論文を発表した蕭助理研究員。日本と台湾のカキを交配させても全くうまくいかなかったことも別種との推論を後押ししたという(20日=中央社)

 科学雑誌「ネイチャー」で知られる英国のネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)が発行する電子ジャーナル「サイエンティフィック・レポート」に論文を発表した行政院農業委員会(農委会)水産試験所の蕭聖代助理研究員によると、これまで地理的な位置関係や日本の植民地だったという歴史的条件から、台湾に生息するカキは日本や韓国、中国北部から長江の河口域にかけて分布するマガキと同種と考えられてきた。

 しかし日本のマガキは40センチメートルほどの大きさまで成長するが、台湾のカキはそこまで大きくなることはないことに疑問を持った蕭研究員がDNA分析を行ったところ、台湾周辺に生息するものは天然、養殖もののいずれも全てポルトガルガキと判明した。

 なお「本国」ポルトガルでポルトガルガキは1960年代に発生した病気が原因でほぼ絶滅。現在では日本からマガキの種ガキを輸入して養殖を行っている。一方、台湾でも数年前に病気が流行し、大規模な被害が出たものの、欧州産に比べ遺伝子の変異性が高かったことから絶滅には至らなかった。

 こうした状況を基に蕭研究員はポルトガルガキの原産地は台湾である可能性が高いと推測。大航海時代の16世紀に台湾へとやって来たポルトガル船の底に付着した台湾のカキがはるばるポルトガルへ渡り、同国で繁殖したとの仮説をサイエンティフィック・レポートに発表した。

 現在台湾では「台湾原産のカキをポルトガルガキと呼ぶのは変だ」との声が上がっており、「タイワンガキ」という呼称を広めようとの動きが出ている。ただ蕭研究員は、「ポルトガルガキというのは学名ではなく通称で、これを変えるのは容易ではない」と語っている。