中国の携帯電話販売台数は昨年、2億3,000万台に上った。ノキアなど5大ブランドが8割以上を占める世界各国の市場とは異なり、中国ではシェアの5割以上を「ホワイトブランド」と呼ばれる地場ブランドが占める。これら中国ブランド急成長は、聯発科技(メディアテック)のICチップをはじめ、台湾メーカーの高い技術力が支えており、今後さらなる商機の拡大が期待されている。経済誌「今周刊」最新590号が伝えた。
「地場ブランドの優勢は永遠に続く」
ホワイトブランドは、中興通訊(ZTE)や聯想、天宇朗通(K-タッチ)など、中国携帯電話市場の地場ブランドを指す。ノキアやモトローラ、サムスンなどのような高い知名度がないためこうした呼び名が付いているが、昨年は中国を含めた全世界の販売台数は2億台余りに上り、世界シェア約2割の隠れた一大勢力だ。
聯発は昨年、中国ブランド向けチップ市場で75%のシェアを獲得した。「どの中国ブランドの携帯電話であれ、中身は聯発ブランドだ」と業界では語られている。中国ブランドの成長に引っ張られる形で、聯発はテキサスインスツルメンツ(TI)、クアルコムに次ぐ、世界3位の携帯電話チップメーカーに成長した。「中国市場で地場ブランドの優勢は永遠に続く」と語る蔡明介聯發董事長は、同市場での商機を握り続ける意向を示している。
多機能低価格を武器に中国ブランドで最も「爆発力」があるとされる天宇朗通は、 昨年9月の携帯販売台数が180万台でノキアに次ぐ2位となり、年間販売台数は1,000万台を超えた。聯発の最大の顧客は、この天宇朗通だ。
天宇朗通の栄秀麗総裁は、ソフトウェア、ハードウェアともに完ぺきな仕事を迅速に行う聯発は、「文句の付けようがない」と語る。栄総裁は台湾メーカーの設計能力や、部品の製造技術の高さを評価し、天宇の新製品開発の後方部隊として活用している。
製造の核心を台湾メーカーが握る
天宇のみならず、現在中国の携帯電話メーカーの多くがICチップ、パネル、プリント基板など製造の核心部分を台湾メーカーのサプライチェーンに強く依存している。中国ブランドの急成長に恩恵を受けている台湾メーカーは少なくない。
中国ブランドの成長を好感する柏承科技(プロテック)の李斉良董事長も、数年前からこれらの顧客との取引にかかり切りとなっている。昨年アップルのiPhoneが発売された際、多くの中国携帯メーカーが類似製品の販売を望み、柏承に対し3週間以内に出荷できるよう要求した。柏承は連日残業を重ね、なんとか顧客がブームに乗り遅れないよう間に合わせた。そしてこの実績がTCLなど有名ブランドからの受注につながったという。
台湾の携帯電話産業では従来、世界5大ブランドからの受注獲得を重視してきた。しかし、モトローラの大幅なシェア低下が、華宝通訊(コンパル・コミュニケーションズ)などの業績を悪化させた事実もある。「ホワイトブランド」は今後、域内業者に対する影響力を確実に拡大させていく情勢だ。