ニュース 電子 作成日:2016年10月24日_記事番号:T00067031
24日付工商時報によると、半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)最大手、日月光半導体製造(ASE)はファンアウト型ウエハーレベルパッケージ(FOWLP)でクアルコムと海信集団(ハイセンスグループ)から大口受注を獲得した。年内に量産する見通しだ。ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が第2四半期にアップルの新型スマートフォン、iPhone7のプロセッサー「A10(A10フュージョン)」向けに集積ファンアウト型ウエハーレベルパッケージ(InFO-WLP)で量産を開始しており、世界2社目のFOWLP量産となる。
ASEは2014年よりTSMCの足並みに合わせて、FOWLPの研究開発(R&D)を進めてきた。当初はパネルレベルパッケージ技術を採用していたが、今年に入りウエハーレベルパッケージ技術に変更し、下半期に研究開発を完了し、試験生産を行った。FOWLPラインは高雄工場に設置しており、月産能力は2万枚。
ASEは特定の顧客からの受注に関してはノーコメントだが、将来FOWLPは普及すると指摘した。
ASEの呉田玉営運長は先日、顧客の需要を受け、今年はシステム・イン・パッケージ(SiP)とFOWLPへの投資が多く、年内に成果が出ると話していた。
SPIL提携で展開加速も
一方、同業の矽品精密工業(SPIL)は来年上半期に、中部科学工業園区(中科)工場でFOWLP技術で量産する計画だ。
ASEとSPILは年末に、両社を傘下に収める持ち株会社を設立する計画について、公平交易委員会(公平会、公正取引委員会に相当)の審査を受ける予定だ。仮に年末に審査を通過し、来年スムーズに中国など各国の競争当局の認可が受けられれば、ASEとSPILは豊富なリソースで短期間でTSMCのFOWLP技術水準に追い付き、FOWLP生産能力を拡大することができる。ファウンドリー大手のTSMCや聯華電子(UMC)と提携し、FOWLPの充実したエコシステム(ビジネスの生態系)を構築できれば、海外大手や中国の紅色供給網(レッドサプライチェーン)に対して先手を打つことができる。
TSMCよりコスト有利
ASEのFOWLP技術がクアルコム、ハイセンスなどの携帯電話用チップメーカーに選ばれたのは、FOWLPは従来の携帯電話チップに採用されているパッケージ・オン・パッケージ(PoP)よりコストが下がる上、TSMCのInFO-WLP価格が高過ぎるためだ。
TSMCの16ナノメートル製造プロセス、InFO-WLPを採用したアップルの「A10」は、世界で最も薄いプロセッサーだ。ただTSMCのInFO-WLPは現在、アップル向けしか量産していない。月産能力は5万~6万枚。第4四半期の売上高は1億米ドルを超える見通しだ。TSMCは来年半ばには10ナノメートル製造プロセス、InFO-WLPの生産能力の認証を受けて量産に入る見込みだ。
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