ニュース 社会 作成日:2016年10月24日_記事番号:T00067053
2012年3月、台湾の船会社に所属するオマーン籍の漁船が東アフリカ・ソマリア沖のインド洋で操業中、海賊に襲撃され、台湾人を含む乗組員29人が誘拐された。海賊はその後、身代金目当てに乗組員を人質に取って監禁。政府が海賊との交渉に応じない姿勢を取る中、民間支援団体が人質の救援に奔走し、このほど既に亡くなった3人を除く26人が無事解放された。
台湾政府に解決を求めた映像での沈瑞章さん。抑留生活は病気になっても薬も与えられない厳しいものだったという(23日=中央社)
高雄建昶漁業所属のオマーン籍漁船「Naham 3」は当時、インド洋セーシェル諸島の南の海域で操業していたところ、ソマリア沖で活発に活動していた海賊に襲撃され、台湾人船長の鍾徽徳さんが死亡。その他、台湾人、中国人、インドネシア人、フィリピン人などから成る乗組員計29人が拉致、連行され、ソマリア領内の漁村に監禁された。
当時、台湾の外交部はオマーン政府など海外の関連機関と協力して事情の把握に努めた。しかし、米国をはじめ世界各国は「海賊に譲歩しない」ことを原則としており、台湾政府も直接、交渉に乗り出すことはなかった。
このため人質の解放は一向に実現しないまま年月が過ぎていった。そんな中で2年前の14年、海賊に銃を向けられた状態で台湾政府に解決を訴える人質の1人で「Naham 3」の機関長、沈瑞章さんの姿を撮影した映像が公開された。
一方で沈さんの妻、楊秀慧さんも政府に夫の救助を求めたが効果がなかったことから、国民党の蔡正元立法委員に支援を求めた。蔡立法委員によると、当時の馬英九総統や毛治国行政院長に協力を要請したが、政府が不介入の原則を曲げることはなかった。このため、乗組員の出身地である中国やフィリピンなどの企業に資金援助を求めた上で自ら海賊との交渉に乗り出したという。
なお、今回の人質解放に当たり200万米ドルの身代金が支払われたと伝えられているが、詳細について蔡立法委員は「明らかにできない」と語っている。
一方、当時、行政院副院長として蔡立法委員に協力した張善政氏は、国際的な政府不介入の原則に加え、政府がソマリアでの操業を止めるよう要請していたにもかかわらず「Naham 3」がこれを無視したこと、およびオマーン籍の漁船のために政府が表に立てば、国際的に漁獲量の割り当てがある中、台湾が漁船を外国籍とすることで余分に割り当てを得ているとの疑惑が生じ、台湾の漁業全体に影響が及ぶため、対応が難しかったと説明した。
ともあれ、乗組員たちは4年半以上もの長い年月を経て、台湾に帰ってくることとなった。機関長・沈さんの家族は娘が涙を流して喜んだ。妻の楊さんは「最初知らせを聞いたときは信じられなかった。夫は健康な状態と聞いている。帰ってきたらぜひホテルでお祝いしたい」と喜びを語った。
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