ニュース 運輸 作成日:2016年10月26日_記事番号:T00067057
スマートフォンアプリを通じた配車サービス「Uber(ウーバー)」の台湾版サービスが早ければ来年1月にも登場することとなった。運転手資格をタクシー業者に限定するため、個人の空き時間や資産を活用して収入を得るシェアリングエコノミーとは発想が異なる。業界の権益と利用者の安全を重視しつつ、高級路線でタクシーサービスに新たな選択肢を増やす狙いだ。26日付経済日報などが報じた。
タクシー業界は、ウーバーによって権益を侵害されていると抗議を繰り返しており、今回の交通部の判断ではそれが実を結んだ形となった(26日=YSN)
交通部は25日、台湾版ウーバーの実施に向けて汽車運輸業者管理規則の改正を発表。営業者を合法的なタクシー業者に限定した。使用する車体の色は自由だが、一般のタクシーと区別するために黄色は禁止する。車体上部にタクシーであることを示す表示灯を載せる必要もない。交通部は台湾版ウーバーをビジネス客向けの高級路線として想定しており、車両は4ドア以上のミニバン、SUV(スポーツ用多目的車)、ベンツやBMWのセダンなどを選べ、料金を高く設定できると説明した。
配車予約はウーバーと同様、携帯電話のアプリケーションを通じて受け付ける。一般のタクシーとのすみ分けを図るため、「流し」で街中で乗客を拾うことは禁じる。利用者はアプリで予約を行う際、運転手の氏名と写真、料金などの情報を得られる。回り道をされたなどの苦情は管轄機関に訴えることができ、運転手に違反行為があれば600~1,200台湾元(約2,000~4,000円)の罰金を科すことにして、カスタマーサービスのないウーバーとの違いを打ち出す。ちなみに今年8月台北市で、台湾では初めてのウーバー運転手による女性乗客への暴行事件が起きており、交通部は安全に配慮した。また、料金の支払いは当初は現金かクレジットカードだが、将来的には電子支払い方式を導入する。
「多くても200台か」
台湾版ウーバーには台湾大車隊、皇冠大車隊(クラウン・タクシー)など多くのタクシー業者が興味を示しているものの、流しで客を拾えないのでは売り上げが上がらないのではないかとの懸念の声が出ている。業界団体の台北市計程車客運商業同業公会の陳灯理事長は、現在タクシー1台当たりで、アプリや電話で予約する客は1日に多くても5~6人程度だが、流しでは10人以上に上り、アプリ予約のみでは厳しいと指摘。台湾版ウーバーのサービスが始まっても、最初から加入するのは多くても200台にとどまるとの見方を示した。
ウーバーが世界で普及した一因はタクシーよりも安い料金である一方、業界団体は台湾版ウーバーの料金を既存タクシーよりも安くしない方針のため、一般に広く普及する可能性は低そうだ。
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