ニュース 政治 作成日:2016年11月1日_記事番号:T00067144
漁業協力や海難救助など海洋問題をめぐる「日台海洋協力対話」の初会合が31日東京で開かれた。台湾側が注目する沖ノ鳥島(東京都小笠原村)周辺での漁業権問題では、双方がそれぞれの主張を展開して平行線をたどったが、対話を制度化して毎年積み重ねていくことを確認した。日台関係は馬英九前政権末期に沖ノ鳥島をめぐって摩擦が高まったが、蔡英文政権への交代後の改善を象徴するものとなった。1日付聯合報などが報じた。
固く握手する大橋交流協会会長(右)と邱亜東関係協会会長。大橋会長は「日台は深い信頼関係を持つ重要なパートナーだ。双方の努力で新時代の日台関係を築くことを期待する」と呼び掛けた(31日=中央社)
会合で日本側は大橋光夫交流協会会長が代表を務め、交流協会、外務省、海上保安庁、水産庁、文部科学省などの関係者が出席。台湾側は邱義仁・亜東関係協会が団長を務め、農業委員会(農委会)漁業署、海岸巡防署(海巡署)、科技部、国家安全会議(国安会)、外交部などの職員が参加した。
沖ノ鳥島問題で台湾側は、台湾漁船が周辺海域で操業する権利を持つと主張。日本側に対し、今年4月に屏東県の漁船「東聖吉16号」が拿捕(だほ)された際に支払った保釈金170万台湾元(約560万円)の返還を要求した。これに対し日本側は、同海域は日本の排他的経済水域(EEZ)との従来の立場を繰り返して拒否した。
双方は今後も海洋協力対話を原則1年に1回開催し、来年は適切な時期に台北で行うこと、および漁業協力、海洋の科学的調査について、日台がそれぞれワーキンググループを設置することで合意した。
「日台の新たな突破」
一見、成果が乏しかったように見えるものの、聯合報は、日台双方がそれぞれの主張を堅持する一方で、実際の運用において協力の余地を残したとして、双方の信頼関係における新たな突破だと評価した。
また、日本は蔡英文総統の就任式典に大規模な祝賀団を派遣したり、菅義偉内閣官房長官が台湾の国際民間航空機関(ICAO)総会参加への支持表明を行い、それに対して蔡総統が読売新聞のインタビューで感謝を表明するなど、日台関係は既に改善していると指摘。今回の日台海洋協力対話の初会合は、その現れの一つだと位置付けた。
「島か岩礁か」の判断棚上げ
沖ノ鳥島をめぐっては、台湾は馬前総統が漁船が拿捕された直後に「単なる岩礁であって島ではない。日本はEEZを設定できない」と主張。台湾漁船の操業を守ると称して巡視船を同海域に派遣して緊張を高めた。
ちなみに蔡政権の沖ノ鳥島に対するスタンスは、「島か岩礁かは常設仲裁裁判所が定義すべきことであり、台湾としては判断しない。ただし、周辺海域は公海でありEEZは設定できず、台湾漁船は操業権を有する」というものだ。
日台海洋協力対話は本来、今年7月下旬に初開催が予定されていたが、直前に南シナ海の領有権問題に対し常設仲裁裁判所が中国と台湾に不利な判断を下して波紋が広がる中、延期されていた。
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722