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国共会談、習総書記「92共識は根本的問題」


ニュース 政治 作成日:2016年11月2日_記事番号:T00067186

国共会談、習総書記「92共識は根本的問題」

 野党国民党の洪秀柱主席は1日、訪問先の北京で中国共産党の習近平総書記(国家主席)と会談し、台湾政局の変化が中台間の1992年の共通認識(92共識)の歴史的事実と核心的意味を変えることはできないと強調した。2日付聯合報などが伝えた。

/date/2016/11/02/17kmtccp_2.jpg握手を交わす洪主席(左)と習総書記(右)。習総書記は、国共両党による中台関係改善への貢献を人々は理解していると強調した(1日=中央社)

 習総書記は台湾で蔡英文政権が発足してから5カ月が経過した時点で、初めて自ら中台関係に関する立場を表明したが、内容は予想された通り、蔡政権に92共識の受け入れを受け入れを改めて迫るものだった。

 習総書記は「一つの中国原則を具現する92共識を認めるか認めないかは、両岸(中台)が一つの国か二つの国かに関わる根本的問題だ」とし、92共識問題では一歩も引かない姿勢を明確にした。

 洪主席はまた、習総書記に対し、中台間の平和協定締結を提案したが、習総書記は「一つの中国という原則に基づき、正式に敵対状態の終結に向けた交渉を行い、平和協定を結ぶことは、中国共産党の一貫した主張だ」と述べ、原則論的には賛意を示し、国共両党による検討が可能との認識を示した。

 洪主席の主張にも新鮮味はなかった。「一中各表(一つの中国、それぞれの解釈)」という従来の立場については、「一つの中国の原則という共通点を追求し、一つの中国の解釈の相違は棚上げする」との表現で言及があったが、これは過去に国民党主席経験者の連戦、呉伯雄の両氏が中国の指導者と会談した際に主張した内容の域を出るものではなかった。

 中国は現状では92共識を受け入れない民進党政権と直接対話する前提が存在しないため、今後も野党国民党を通じ、間接的に民進党政権にメッセージを発するとみられる。

「中華民国の存在直視を」=蔡総統

 台湾総統府の黄重諺報道官は1日、習総書記の発言について、「北京当局は中華民国の存在と台湾人民の民主制度に対する深い信頼を直視すべきだ。両岸の指導者と政府は知恵と柔軟さで現存する対立点を互いが勝利者となる未来へと向かわせるべきだ」とする蔡総統の談話を発表した。

 与党民進党は、中台関係が良い方向に向かうことには賛成するが、「平和協定」は非常にデリケートな政治議題であり、台湾内部での高度の共通認識が必要だとして、現時点で推進する条件は整っていないとの認識を示した。

 新興政党時代力量の黄国昌主席は「国民党が共産党による一つの中国による統一戦略に付和雷同し、台湾の民意の主流からますます遠ざかっていることが改めて印象づけられた」と批判した。

人民日報がトップ報道

 2日付中国共産党機関紙、人民日報は、習総書記と洪主席の会談を、習総書記が出席した別の会議の記事と同列のトップ扱いで報じた。記事は習総書記の発言について長文で伝える一方、洪主席の発言については、「国共両党は92共識と台湾独立反対という基礎に基づき、意思疎通を強化し、両岸の経済貿易交流、民間交流を拡大すべきだ」といった部分を1パラグラフで伝えただけだった。