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海運不況深刻、陽明海運が幹部給与カット


ニュース 運輸 作成日:2016年11月3日_記事番号:T00067195

海運不況深刻、陽明海運が幹部給与カット

 海運大手、陽明海運(ヤンミンライン)は2日、謝志堅董事長が100%、副総経理以上は50%、協理以上で30%の給与カットを決定した。来週には減資後増資などの経営改善計画を検討する。海運業界では市況低迷が長引き、韓国最大手の韓進海運が8月末に経営破綻。日本郵船、商船三井、川崎汽船の日本大手3社が10月末、コンテナ船事業の統合を発表した。存続を懸けた業界再編が進む中、陽明海運は財政健全化と海運アライアンスの協力体制で、来年の黒字転換を目指す。3日付経済日報などが報じた。

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 陽明海運の上半期の純損失は84億6,200万台湾元(約280億円)と、昨年通年の損失額77億2,200万元を上回った。最大手の長栄海運(エバーグリーン・マリン)も上半期に純損失43億9,700万元を計上しており、海運業界の厳しい状況を浮き彫りにした。

 市場観測によると、陽明海運は大幅赤字を受けて、株主である交通部から謝董事長に対し、早急なコスト削減を直接求められた。陽明海運は11月から幹部の給与カットを実施することで、年間3,000万元を節約できるもようだ。

 陽明海運の主管は、大幅赤字は運賃下落が原因だと説明した。欧州路線のコンテナ輸送運賃は200米ドル余りで、従来の1,200~1,600米ドルと大幅な差がある。ただ、市場調査会社、Drewryの予測によると、来年の需要は2.5%増、供給は5.8%増で供給過剰が続くものの、18年は需要5.9%増・供給3.1%増、19年は需要3.3%増・供給3.2%増と、需給の差は徐々に解消する見通しだ。

欧米路線、運賃上昇

 長栄集団(エバーグリーン・グループ)の柯金成広報担当は、今年第4四半期は海運景気回復の兆しが感じられると述べた。欧州路線の運賃は1TEU(20フィートコンテナ換算)当たり900米ドル以上に上昇、米国東海岸、西海岸路線も需要が増加している。

 フォワーダー、捷迅(スーネスト・エクスプレス)の孫鋼銀総経理は、韓進海運の経営破綻で数十万TEUの輸送能力が凍結した上、感謝祭、クリスマスシーズンの出荷で、10月は大幅な供給不足となっており、北米路線のコンテナ運賃は1,000米ドルまで上昇したと話した。

3大アライアンスの団体戦へ

 海運業界は来年3大アライアンスに再編される。陽明海運が加わる「ザ・アライアンス」は今年5月の発表によると、▽独ハパックロイド▽日本郵船▽商船三井▽川崎汽船▽韓進海運──を合わせた6社から成り、来年4月にサービス開始予定だ。6社の市場シェアは計13.8%で、うちハパックロイドは4.5%、陽明海運は2.7%だ。

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 一方、「2M」は市場シェア28.5%で、▽マースク、15%▽MSC、13.5%──から成る。同じく来年4月にサービス開始予定の「オーシャン・アライアンス」は市場シェア計25.3%で、▽CMA CGM、10.3%▽中国遠洋運輸集団(COSCO、コスコ)、7.5%▽香港の東方海外貨櫃航運(OOCL)、2.7%▽長栄海運、4.8%──から成る。

【図】