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イノラックスがiPhone認証取得、台湾パネルメーカーで初


ニュース 電子 作成日:2016年11月4日_記事番号:T00067223

イノラックスがiPhone認証取得、台湾パネルメーカーで初

 4日付工商時報によると、鴻海精密工業傘下の群創光電(イノラックス)は、アップルにサンプル出荷した4インチ、4.7インチのスマートフォン用パネルで認証を取得した。アップルからの認証取得は、台湾のパネルメーカーで初めてだ。歩留まり率を向上させて来年のiPhone向け受注を獲得するため、シャープの陣営が高雄市の路竹工場に駐在している。基幹部品のパネル受注が実現すれば、鴻海は部品から組み立てまで垂直統合のメリットが拡大する。

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路竹工場、シャープが支援

 アップルの認証を受けた路竹工場は2015年に設立した、鴻海にとって初めての第6世代LTPS(低温ポリシリコン)工場だ。責任者は、鴻海K次集団研究開発策略計画事業処の張登凱副総経理で、運営と財務を担当している。研究開発(R&D)と技術面はイノラックスが10年に合併した旧・統宝光電(トポリー・オプトエレクトロニクス)で副総経理を務めた呉逸蔚氏が担当し、イノラックスは工場と技術者を提供している。月産能力は2万3,000~2万4,000枚(ガラス基板投入枚数)の計画だ。15年末に設備を搬入し、今年既に少量生産しており、アップルなどにサンプル出荷を行ってきた。

 鴻海がアップルにサンプル出荷していたのは、4インチのiPhoneSE、4.7インチのiPhone7のLTPSパネルのほか、インセルタッチ技術を応用したパネル。ただ、認証は取得したものの、鴻海はこれまでLTPSパネル量産の実績がなく、4インチ、4.7インチパネルの歩留まり率は50%未満とされる。

 iPhone7シリーズのパネルは▽サムスン電子▽LGディスプレイ(LGD)▽シャープ▽ジャパンディスプレイ(JDI)──が供給している。サムスンが来年アクティブマトリックス式有機EL(AMOLED)パネルに注力するため、アップルはパネル調達先を拡大する意向で、イノラックスに受注のチャンスがめぐってきそうだ。

 なお、アップルの認証取得について鴻海とイノラックスはノーコメントとした。

パネル受注、アップル全製品に拡大へ

 鴻海は、スマートフォンiPhoneからタブレット端末iPadまで、アップル製品の最大の受託生産メーカーだ。傘下メーカーが筐体などの部品も供給しているが、基幹部品のパネルは供給できておらず、パネル受注は郭台銘(テリー・ゴウ)董事長にとって長年の念願だ。

 鴻海が8月に買収を完了したシャープは、従来アップルのiPad、一部iPhoneにパネルを供給していた。シャープのIGZO(酸化物半導体、イグゾー)パネルは有機EL(OLED)パネルより省電力で、LTPSパネルより製造コストもかからない。このためアップルは昨年、iPad ProにIGZOパネルを採用し、このほど発表した新型ノートパソコン、マックブックにも搭載した。早ければ来年下半期にマックブックプロにも採用される見通しだ。

【表】