ニュース その他分野 作成日:2016年11月10日_記事番号:T00067324
8日投開票の米大統領選で、共和党候補のドナルド・トランプ氏(70)が勝利したことを受け、保護貿易主義や反グローバリズムが強まり、輸出依存度が高い台湾経済に打撃を与えることが懸念されている。米国がアジア戦略の一環として進めてきた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は発効の見通しが立たなくなり、中国主導の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)は中台関係の緊張から推進できず、個別のFTAも中国が反対すれば締結が困難なため、台湾は今後、世界貿易のネットワークから孤立する恐れが指摘されている。10日付経済日報などが報じた。
李経済部長は、台湾は米国人の仕事を奪っておらず、米台産業は相互補完の関係にあると強調した(9日=中央社)
中国に高関税か
KPMG安侯建業聯合会計師事務所の于紀隆主席は、保護主義が高まれば、特に米国に輸出するICT(情報通信技術)設備、電機、自動車部品メーカーに打撃が大きいと予測した。
トランプ氏は選挙期間中、中国に対し、45%の関税をかける考えを示していた。経済部によると、台湾は主に電子部品などの中間財を中国で組み立ててから米国などに輸出しており、近年は対中輸出が輸出総額の4割を占める。
李世光経済部長は、台湾の中間財の輸出に影響が出る可能性があると懸念を示した。ただ、台湾は世界貿易機関(WTO)に加盟しており、WTOの情報技術協定拡大交渉(ITA2)に基づき、電子製品の関税が引き下げられていると指摘した。
アップル供給網、影響は限定的か
トランプ氏は、アップルなど米国ブランドの製品を米国で生産させる方針も示しており、主に中国や東南アジアで生産している鴻海精密工業をはじめ台湾の電子製品の受託生産メーカーが、これに呼応して米国で生産拠点展開を進める可能性がある。
鴻海の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長は4年前に米国製造業の国内回帰(リショアリング)を受け、ペンシルバニア州を視察していた。広達電脳(クアンタ・コンピュータ)は数年前にカリフォルニア州にアップルのiMac組み立て工場を設置した他、サーバーを米国工場で製造している。
仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)の陳瑞聡総経理は、米国政府は米国製造に税制優遇などの措置を講じるはずで、コンパルは顧客の要望に応じる構えだが、時期は不明だと語った。ただ、米国での製造コストはアジアより高いので、アップルが米国で製造するなら量産規模が大きく自動化できる製品を選ぶと予想。ノートパソコンは製造工程が複雑で、可能性は高くないと指摘した。
コンパルの陳総経理は、トランプ氏当選による世界経済の影響は1~2カ月で終わると予測した(9日=中央社)
アップルのサプライチェーン(供給網)関係者は、もしアップルのスマートフォン、iPhoneを米国で組み立てれば、コストがかさみ、販売価格を引き上げざるを得ないと指摘。産業アナリストは、市場の飽和状態や中国ブランドとの競争から、アップルが値上げする可能性は低く、トランプ氏当選による影響は小さいと予測した。
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