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トランプ政権との協力に自信、蔡総統「大きな変化ない」


ニュース 政治 作成日:2016年11月14日_記事番号:T00067381

トランプ政権との協力に自信、蔡総統「大きな変化ない」

 米国優先主義を掲げる米共和党のドナルド・トランプ氏(70)の当選を受けて、台湾では「米国に見捨てられる」との観測の下、中国と関係改善を図り通商政策を転換すべきといった議論も出ている。そうした中、蔡英文総統は自由時報の単独インタビューに対し、トランプ次期政権下での米台関係拡大に自信を示しつつ、通商関係をさらに深めるべく台湾側から働き掛けていく考えを表明した。13日付同紙などが報じた。

/date/2016/11/14/00tsai_2.jpgトランプ政権の誕生は台湾にとって不利との分析が多いが、蔡総統は米台関係は揺るがないとの見方を強調した(中央社)

 トランプ時代の米台関係の見通しについて蔡総統は、「台湾が米国の戦略に占める位置は全く意味がないということはなく、今後台湾側が調整しなければならないことがあるかもしれないが、基本的な関係は指導者や政権が変わっても大きな変化はない」と説明。米台関係の基礎には台湾関係法があり、双方の行政部門、議員、民間が深い関係を築いてきたと指摘した。

 トランプ次期大統領が公約に基いてアジアの米軍兵力を削減した場合、中台関係に影響を与えるかとの質問に対しては、「彼らは今後、アジア太平洋地域の情勢評価と戦略計画を改めて練り直すはず」と予測して、台湾が困惑するような事態が起きる可能性は低いとの見方を示唆しつつ、現時点で見解を下すのは時期尚早と語った。

 トランプ氏が米国優先主義と貿易保護主義を掲げていることについては、米国が従来唱えてきた自由貿易は米国企業の利益を至上命題としており、台湾とは基本的には互恵の形だが、実際は米国側のメリットがはるかに大きいと指摘した。アップルによるスマートフォンiPhoneの台湾メーカーへの生産委託を例に挙げ、1台当たりの利益のうち6~7割をアップルが得て、台湾メーカーは薄利に甘んじているとしてトランプ氏の認識は適切でないとの見方を示した。

アジア諸国と積極協力

 トランプ氏による環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)反対が米台間の貿易投資枠組み協定(TIFA)交渉に影響するのではないかとの質問に対しては、「米台は多くの通商協力をさらに拡大できるのが実際の現実だ」との認識を示しつつ、TIFAを含む経済分野における協力改題をトランプ新政権に働き掛けるよう関係部門に指示したことを明らかにした。

 一方で、トランプ政権の登場により、世界の自由貿易推進と地域経済の統合に一定の不確実性がもたらされるとして、貿易立国の台湾はアジアの近隣諸国・地域と経済的連携をさらに深め、二者間の通商協力や地域経済協力への参加をより積極的に展開する必要があるとの考えを示した。

TPP引き続き準備

 国家発展委員会(国発会)の幹部は13日、TPPは発効見通しが立たなくなったものの、今後日本が推進すれば米国にとって圧力となると指摘しつつ、台湾は引き続き内部の法整備などを推進する考えを示した。

 また、米国が保護主義に走れば現行の「台湾で受注、中国で生産」のモデルが崩れるため、今後は企業による米国での生産を視野に米台間のサプライチェーン構築を進める方向性も示した。