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東日本被災地食品を地方議会が阻止へ、来年解禁に不透明感


ニュース 食品 作成日:2016年11月15日_記事番号:T00067406

東日本被災地食品を地方議会が阻止へ、来年解禁に不透明感

 福島原発事故以降の日本産食品の輸入規制措置で、民進党政権が立法院に緩和案を提出したことに対し、桃園市、台中市、台東県議会で野党国民党の議員団が14日、被災地の食品の販売禁止を明文化した食品安全衛生自治条例の制定や改正要望を提出した。15日以降の提出予定を合わせると11県市に上る上、民進党の一部地方議員も贊成に回っている。12日から3日間で10回開かれた公聴会は緩和反対の抗議でけが人が出るほどの大荒れだった。強い反発の中、早ければ来年1月とみられていた早期の輸入規制緩和は、不透明な状況となった。15日付聯合報などが報じた。

/date/2016/11/15/00taoyuan_2.jpg桃園市議会の国民党議員団は、中央政府は民意を無視していると批判した(14日=中央社)

 民進党政権が今月7日公表した輸入規制緩和案は、福島県を除く東日本の周辺4県(群馬、栃木、茨城、千葉)の低リスク食品を対象に、産地証明書と放射性物質検査報告書の添付で輸入を認めるようにする内容。

 これに反発した国民党は、3県市のほか、▽新北市▽高雄市▽台南市▽新竹市▽彰化県▽雲林県▽苗栗県▽嘉義市──の議会でも議員団が食品安全衛生自治条例の制定や改正を提案する意向だ。

 桃園市議会の国民党議員団は、中央政府が原発事故被災地の食品を輸入させるのなら、われわれが食い止めるしかないと強調。食品安全衛生自治条例の制定、および被災地の加工物を管理の対象にすることを求める桃園市食品添加物管理自治条例の改正を要求した。

 台中市議会の議員団は、県市内での被災地食品の販売のほか、学校給食での利用を禁じる内容を盛り込んだ。

日本政府の責任、台湾が肩代わり?

 林淑芬立法委員(民進党)は14日、フェイスブック(FB)で、放射能汚染は日本政府の責任であるのに外国の市民にリスクのある食品を買わせるのかと問い掛け、台湾市民が肩代わりする話でないと指摘した。リスクのある食品は多く、水際検査にも限界があり、漏れが出る恐れがあると懸念を示した。

 これに対し民進党立法委員議員団の呉秉叡幹事長は同日の記者会見で、行政院は台湾人の健康を最優先して検討しており、当面は福島県産の食品輸入は停止したままだと強調。緩和を進める政府を支持する姿勢を示した。

世界に同調=林行政院長

 林全行政院長は14日、テレビ番組の独占インタビューで、(東日本5県市の)全ての食品を輸入停止しているのは中国と台湾だけなので、他国に倣って規制を緩和する方向だと明らかにした。

 一方、緑色消費者基金会など環境保護団体は同日、衛生福利部が公聴会で提供した、日本からの輸入食品に対する放射性物質の基準値の情報は事実と異なり、東日本5県市の全ての食品を輸入停止しているのは中国と台湾だけとの誤解を与えると指摘。林奏延・衛生福利部長を偽造文書の疑いで台北地方法院検察署に告発した。