ニュース 電子 作成日:2016年11月17日_記事番号:T00067458
半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)最大手、日月光半導体製造(ASE)と矽品精密工業(SPIL)の経営統合を、公平交易委員会(公平会、公正取引委員会に相当)が16日承認した。世界でM&A(合併・買収)が進み、中国の紅色供給網(レッドサプライチェーン)が台頭する中でも、アップルとインテルを顧客に擁する世界首位と3位企業による台湾代表が誕生すれば、価格交渉力が高まり、世界で戦えると期待されている。来年末までの経営統合完了に向け、米国の競争当局の審査は通過する見通しだが、中国当局の認可を得られるかが課題となる。17日付経済日報などが報じた。
ASEは現在、SPIL株式の33.28%を保有する法人の筆頭株主だ。両社は来年末までに、両社を傘下に収める持ち株会社、日月光控股(ASEインダストリアル・ホールディング)を設立する計画だ。ASEは16日、両社の経営統合は世界の半導体産業の発展に貢献し、台湾の半導体産業のマイルストーンになると指摘した。
公平会は、半導体封止・検査企業は世界に70社以上あり、ASEとSPILは企業結合後も調達や 取引などダブルブランドで独立運営するので、競争を実質的に制限することはないと承認理由を説明した。
また公平会の邱永和副主任委員は、両社の製品は重複が多く、経営統合すれば、研究開発(R&D)コストが減る上、一部のロー~ミドルエンド製品の製造プロセスを標準化でき、余力を技術革新や研究開発に充てることで、台湾の封止・検査産業の技術水準を向上させることができると指摘した。
ただ公平会は、ASEとSPIL双方に発注していた顧客が、リスクを分散するため、別の発注先を探す可能性があると懸念を示した。台湾の同業、▽力成科技(パワーテック・テクノロジー、PTI)▽京元電子(KYEC)▽矽格(シガード・マイクロエレクトロニクス)▽欣銓科技(アーデンテック)──が候補と考えられるが、クアルコムや聯発科技(メディアテック)は発注規模が多く、▽アムコア・テクノロジー▽中国の江蘇長電科技(JCET)▽天水華天科技──に受注が流出する恐れもある。
中台関係の冷え込み、審査に影響も
ASEとSPILの経営統合は今後、両社の株主総会の承認を得る他、米国と中国の競争当局からも企業結合の承認を得なければならない。
業界関係者は、米国には両社の工場がない上、両社の世界市場シェアは米国のIDM(垂直統合型の半導体メーカー)大手より低いので、米国当局の審査を通過する可能性は高いとみている。
一方、中国ではASEは▽広東省深圳市▽上海市▽江蘇省昆山市▽山東省威海市──に、SPILは江蘇省蘇州市に工場がある。民進党への政権交代による中台関係の冷え込みや、中国政府による半導体産業の育成政策が、中国当局の判断に影響を与えそうだ。
業界関係者は、ASEとSPILの中国投資は現地の半導体産業を支えているが、中国の同業に対する脅威でもあるため、中国が早期に認めることはなく、条件付きの承認となると予測した。
工業技術研究院(工研院)産業経済趨勢研究センター(IEK)の予測によると、今年の封止・検査専業メーカーの世界市場は、台湾のシェア56%に続き、中国がシェア16%で2位と、前年9%から急成長する見通しだ。
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