ニュース 運輸 作成日:2016年11月24日_記事番号:T00067594
業績悪化を理由に突然の解散を発表した復興航空(トランスアジア航空)と債権銀行団8行は23日、協調融資(シンジケートローン)の残債約40億元(約140億円)の早期返済で合意した。復興航空は担保品の航空機2機を売却して資金を捻出する構えだ。銀行団は債権回収に有利なため会社更生手続きを求めると報じられていたが、早期回収ができれば解散か更生かにはこだわらないもようで、更生手続きの提案は行われなかった。24日付経済日報などが報じた。
賀陳旦交通部長も24日、復興航空の突然の解散に「消費者に対して無責任だ」と強く批判した(24日=中央社)
合作金庫商業銀行(TCB)を主幹事(アレンジャー)とする協調融資は総額55億元で、約3割が返済され、約40億元が未返済となっている。復興航空と銀行団は、解散決定により返済期限が到来したとの認識で一致。林明昇復興航空董事長は、担保のエアバスA330旅客機2機について、既に売却先が決まったとして銀行に代わり自身で処分することに同意を求めた。銀行団は、時間が長引いて担保価値が下落することへの懸念を表明。これにより双方は、復興航空が1週間以内に資産の処分計画を銀行団に提出することで合意した。
復興航空の総資産は228億元、負債は170億元で、協調融資、海外転換社債(ECB)の24億元のほか▽兆豊国際商業銀行(メガ・インターナショナル・コマーシャル・バンク)、17億1,000万元▽合作金庫、16億2,000万元▽華南商業銀行、15億元──などの個別融資がある。24日は各行が集まり、個別債権の善後策を協議する。3カ月以内に保有機体10機以上を売却し、返済に充てることを求めるようだ。
復興航空の純資産は58億元で、債務返済や従業員の解雇手当、乗客や旅行会社への損失を賄うのに十分とみられる。銀行関係者は、▽台北市内湖区のビル、6億9,000万元▽機内食の復興空厨(トランスアジア・ケータリングサービス)、5億2,500万元──は既に売却済みで、保有機体22機が最大の資産だと指摘した。しかし、航空業界関係者は、航空機は納入後すぐに減価償却が進む上、各社が多くの機体を保有しており、売却は容易でないと指摘。資産価値を高く見積もり過ぎている恐れがあると話した。
旅行展示会のセール、検察が捜査
金融監督管理委員会(金管会)の李瑞倉主任委員は23日、復興航空は早くから解散を準備していたのに、予告なく突然運航を停止したのは、市民を欺く非常に悪質な行為だと批判した。
李主任委員は、復興航空は先週18日に従業員向け解雇手当や乗客の損失を補塡(ほてん)する信託口座を開設して準備していたが、21日にうわさが立つや急きょ董事会を開催して解散を発表したと述べ、手法に全く誠意が見られないことを批判した。政治大学法学院の林国全院長は、企業が予告なく解散や倒産し、株主や従業員などの利害関係者(ステークホルダー)への対応が不適切であれば計画倒産に該当すると話した。
台北地方法院検察署(地検)は同日、復興航空が今月初旬の台北国際旅展(台北インターナショナル・トラベルフェア、ITF)で大規模セールを行ったことが証券詐欺に該当するかなどを調査するよう台北市調査処に指示した。
民航局の対応後手を批判
聯合報は、交通部民用航空局(民航局)の不手際として▽海外転換社債の償還期限を前に復興航空を調査しつつも、赤字だが現金はあるため差し迫ったリスクはないと見誤った▽21日に突然、公式サイトでの航空券購入ができなくなり運航停止のうわさが流れたが、復興航空の「その予定はない」との説明をうのみにした▽復興航空が21日午後3時になって、22日の運航停止を明らかにしても、民航局は23日以降も運航を再開できない最悪の事態を想定した対応ができなかった──の3点を挙げた。ある関係者は、復興航空の経営に介入することはできないが、近年2度も墜落事故を起こし、損失額を拡大させているのに、説明をそのまま受け止めたことは軽率だったと話した。
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