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紫光集団の台湾2社投資計画、実現困難に


ニュース 電子 作成日:2016年11月29日_記事番号:T00067679

紫光集団の台湾2社投資計画、実現困難に

 経済部投資審議委員会(投審会)は28日、中国の国有半導体大手、紫光集団による台湾の半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)大手2社、▽力成科技(パワーテック・テクノロジー、PTI)▽南茂科技(チップモス・テクノロジーズ)──への各25%の出資計画について、年内認可は困難との見通しを示した。蔡英文政権は中国資本から半導体産業を保護する判断を下したもようで、このまま来年1~2月の出資覚書の期限を迎えて実現しない可能性が高まった。 29日付経済日報などが報じた。

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 紫光集団は近年、大規模なM&A(合併・買収)を繰り返しており、海外メディアから「飢えた虎」とも称されている。2015年10月にパワーテックの株式25%取得に194億台湾元(約680億円)を投じる計画を、同年12月にチップモスの株式25%取得に119億元を投じる計画を発表し、中国の紅色供給網(レッドサプライチェーン)に台湾がのみ込まれると懸念が高まった。

 紫光集団は今年1~2月に、両社と第三者割当増資の覚書を交わし、3月~4月に投審会に投資計画を申請した。

 中国・毎日経済新聞の報道によると、紫光集団の趙偉国董事長は先日、今年5月、7月、9月の3回にわたって追加書類を提出したが、過去3カ月は投審会から連絡がなく、覚書の有効期限である来年1~2月までに審査が完了しない可能性が強まったと話した。

審査に期限なし=投審会

 投審会の張銘斌執行秘書は、経済部工業局に案件を送付済みで、意見をもらってから立法院で報告するので、年内に審査を完了するのは困難だと語った。特殊案件のため審査に期限がない上、特に半導体は基幹産業で、中国資本の台湾投資は条件付き開放のため審査に時間がかかることから、もし覚書に有効期限があるなら延期すればよいと語った。

 紫光集団は、出資が完了すれば、パワーテックの筆頭株主、チップモスの2位株主になる見通しだ。パワーテックとチップモスは、政府の決定に従うが、紫光集団は経営には関与せず、自社にプラスの影響をもたらすと説明した。

 紫光集団は昨年12月、矽品精密工業(SPIL)の株式25%を568億元を投じて取得すると表明したが、SPILは今年4月に出資受け入れの中止を決定している。

最終的には「台湾の損」

 民進党の蔡英文政権発足後、パワーテックとチップモスだけでなく、中国資本の台湾投資案件の大部分が停滞している。投審会は28日、中国の人気動画配信サイト「愛奇芸」(iQIYI)の台湾子会社設立計画に対し、不認可の判断を下した。

 投審会はこれまでに、中国資本による対台湾投資に関する許認可規定「大陸地区人民来台投資許可弁法」の第8条に従い、投資案件は「政治、社会、文化上センシティブまたは国家安全に影響を及ぼす」「台湾の経済発展や金融の安定に不利な影響をもたらす」恐れがある場合、申請を却下すると公告している。

 FCCパートナーズ(FCCP)の黄斉元総裁は、台湾政府は最近、地場産業の保護や、双方の開放の度合いが公平でないことを理由に、外資や中国資本の巨額の投資案件を却下しているが、世界のトレンドに反する上、特に中国とは政治問題になりやすく、最終的には台湾が損をすると指摘した。

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