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復興航空の解散確定、運航権を回収へ


ニュース 運輸 作成日:2016年11月30日_記事番号:T00067701

復興航空の解散確定、運航権を回収へ

 「復興航空(トランスアジア航空)の経営を引き継ぐ考えの陣営がある」。張国政・前交通部民用航空局(民航局)局長による29日の発言は、会社救済を望む従業員らに一筋の光を与えたかに見えたが、一夜明けて単なるパフォーマンスだった疑いが濃厚となった。復興航空は同日、買い手が現れても売却しない、解散以外の選択肢を望まない意向を民航局に表明。これにより交通部が運航権の回収に着手し、同社が65年の歴史に幕を下ろすことが確定した。30日付中国時報などが報じた。

/date/2016/11/30/00TRANS_2.jpg復興航空の従業員約50人は29日夜、民航局前に集まり、雇用を守るために運航権回収を保留してほしいと訴えた。しかし、願いは届きそうにない(29日=中央社)

 張前局長は午前の記者会見で、ハイテク企業から委託を受けた自身が代表するチームを買い手として挙げ、交渉がまとまらなくなる恐れがあるとして具体的な名前には言及しなかった。ところが、観測に上った郭台銘(テリー・ゴウ)鴻海精密工業董事長や宣明智・聯華電子(UMC)名誉副董事長、および長栄集団(エバーグリーン・グループ)の後継体制をめぐる兄弟対立で長栄航空(エバー航空)董事長を解任された張国煒氏らは、いずれも買収意欲を否定した。

 復興航空は張前局長の会見に興味を示さず、解散意向の意見陳述書を午後に民航局に提出。この段階に至っても張前局長は買い手の具体名を挙げなかったため「本当の話なのか」との疑念が高まった。復興航空の株価はストップ安が続いていたが、張前局長の買収発言を受けて一転ストップ高となり、同日は5,592万株と同社上場以来最大の取引量を記録した。記者会見は何らかの意図に基づく株価つり上げが目的だったのではないかとの疑惑が出て、民進党の黄偉哲立法委員は「とんだ茶番劇だった。検察が捜査を行うべきだ」と呼び掛けた。

 張前局長は30日朝、再び記者会見を開いて復興航空を引き継ぐ計画から撤退すると表明。同社解散に打つ手がなかったとして林全行政院長らを批判した。

運航権を再分配、2月に就航

 復興航空は意見陳述書で、今後1月11日の臨時株主大会で解散への承認を得る予定で、運航権の回収を含む民航局のあらゆる決定に従うと表明した。これを受けて交通部は近く運航権の回収作業に入る。12月初旬に他社への再分配について説明を行う予定だ。

 再分配を受けた航空会社は準備作業を経て、来年2月15日に運航を開始する見通しだ。民航局が再分配する運航権は▽台湾域内線、6路線▽国際線、12路線▽中台線、25路線──。

 ちなみに今回買い手が現れなかった理由として、復興航空は週7便の松山・桃園~上海線以外に魅力のある路線を持っていなかったことが指摘されている。同社は札幌や仙台、成田、関西など日本各地に就航しているが、日台間は航空自由化(オープンスカイ)協定で自由に路線開設を申請できるため価値が低いという。

7500万ドル、不良債権に

 なお復興航空は29日、7,500万米ドルの転換社債(ECB)の償還期限が到来したが、資金不足で償還できないと発表した。