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被災地産食品問題、「住民投票で民意問え」=国民党陣営


ニュース 食品 作成日:2016年12月1日_記事番号:T00067733

被災地産食品問題、「住民投票で民意問え」=国民党陣営

 東日本産食品の輸入規制措置の早期緩和を求める大橋光夫交流協会会長が「日本国民をひどく傷つけている」と台湾の一部世論を批判したことに対し、国民党陣営から強い反発が巻き起こった。郝龍斌・元行政院環境保護署長(国民党副主席)らは30日、輸入規制緩和の是非を問う台湾全土規模の住民投票を推進する考えを表明。対日外交と引き換えに食品の安全問題をないがしろにする蔡英文政権の姿勢は容認できないと指弾した。中央社電などが25日報じた。

/date/2016/12/01/00food_2.jpg日台貿易経済会議の会場外では、被災地産食品の輸入解禁に反対する抗議活動が行われた(30日=中央社)

 郝氏は、蔡政権が規制緩和推進に乗り出して以降、大きな不安感が広がっており、各地の市民が「汚染食品は食べたくない」と声を上げていると指摘。蔡政権が来年の春節(旧正月、2017年は1月28日)までに強行突破を図る見通しであることから、楊志良・元行政院衛生署(現衛生福利部)長や、消費者文教基金会(消基会)などの団体と連携して、「福島原発事故被災地の農産品の輸入開放を支持するか」をテーマに住民投票の実施に向けて動く考えを示した。

 台湾の住民投票は有権者全体の5%(93万9,150人)の署名を集めた上で、有権者総数の2分の1以上が投票し、その2分の1以上の贊成が必要と成立要件が厳しい。それでも郝氏は、蔡政権に圧力をかける手段として意義があるとの認識を示した。

 楊志良・元衛生署長も「日本人はどういう根拠で台湾人に被災地食品を食べさせようというのか。福島の人々の心を傷つけるとはよくも言えたものだ」と大橋発言を批判。「国民党に良い印象はないが」と前置きしつつ、住民投票の実施に賛意を示した。

 台湾では既に、雲林県と苗栗県で議会が被災地産食品の県内での販売や輸入を禁じる条例を可決したが、住民投票が実現に向かえば規制緩和反対の世論がさらに勢いづく可能性がある。

 なお、行政院の徐国勇報道官は、公聴会の今後3回の追加開催をインターネット中継し、終了後に広く意見を募り、輸入を解禁するか否か最終判断を下すと説明した。

ネット通販が抜け穴に

 台湾政府は現在、東日本5県(福島、群馬、栃木、茨城、千葉)の全食品(酒類を除く)の輸入を停止している。ただし、インターネット通販サイトを利用すれば東日本5県産の食品も簡単に買える状況だ。

 台中市の女性は、11月初旬に子供のためにネット通販でカルビー「フルグラ」を購入したところ、栃木県産で驚いたと話した。聯合報の記者が調べたところ、福島県のブランド米「コシヒカリ」などが楽天市場の海外販売サービスやオークションサイトで注文できた。業者が個人に代わり、海外サイトで購入するケースや、業者が日本で買い付け、台湾に持ち込んで販売するケースは水際検査の抜け穴となっている。

 台中市政府衛生局の徐永年局長は、業者は食品の検査を受け、産地証明書、放射性物質検査報告書を添付しなければ、ネットで販売してはならないと説明した。自分が食べる以外の食品を日本から持ち込み、販売すれば、食品安全衛生管理法で最高300万台湾元(約1,100万円)の罰金が科される。