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ラーガンとサムスンが和解、世界最大手の地位堅固に


ニュース 電子 作成日:2016年12月2日_記事番号:T00067758

ラーガンとサムスンが和解、世界最大手の地位堅固に

 スマートフォン用カメラレンズ最大手、大立光電(ラーガン・プレシジョン)は1日、サムスン電子との特許侵害訴訟で和解が成立したと認めた。両社は、秘密保持契約により詳細を明かしていない。ただ、サムスンの携帯電話は一貫生産で、レンズもほぼ自社製だったため、ラーガンはサムスンから特許使用料を受け取るだけでなく、今後レンズの受注も得られる見通しだ。ラーガンはアップルと非アップル陣営からの受注を総なめにして、世界最大手の地位がより堅固なものになる。2日付経済日報などが報じた。

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 ラーガンは2013年6月、玉晶光電(ジニアス・エレクトロニック・オプティカル、GSEO)を特許侵害で提訴したのに続き、同年11月に米国カリフォルニア州でサムスンとサムスン米国子会社が製造する「ギャラクシーノート2」のレンズがラーガンのレンズの特許6項目を侵害しているとして提訴した。市場では当時、特許訴訟はアップルとサムスンから受注が狙いとみられていた。

 ラーガンとジニアスはアップルのiPhoneのレンズの主力サプライヤーだ。アップルのサプライチェーンに新たに加わったカンタツの歩留まり率が予想していたほど良くなかったため、アップルが特許訴訟の仲介役となり、ラーガンとジニアスは和解したとみられている。

 カンタツの歩留まり率低調もあり、ラーガンは第3四半期、iPhone7向け出荷などでフル稼働が続いた。ラーガンはアップルからの受注が4~5割、中国ブランドが4割を占める。

営業秘密侵害、審理続行

 ラーガンは台湾、米国、日本、中国、欧州などで特許1,000件以上を保有している。大部分がレンズの設計に関するもので、プラスチックレンズ5枚のいわゆる「5P」や6枚の「6P」が多い。特許による参入障壁はラーガンにとって重要な武器だ。

 一方、ラーガンは13年9月に先進光電科技(アビリティー・オプトエレクトロニクス・テクノロジー)も特許侵害と営業秘密侵害で提訴している。ラーガンは、損害賠償15億2,000万台湾元(約54億円)を請求したが、まだ審理中だと説明した。先進光電は、現在は一審の段階で、損害の認定や賠償金額の算出を待っていると説明した。

 ラーガンは先進光電の営業秘密侵害については、徹底的に追求する態度を示しており、和解には応じない見通しだ。

 営業秘密侵害の内容は、ラーガンの元従業員が製造工程などのデータをコピーし、先進光電に持ち込み、先進光電の特許として出願したというもの。ラーガンは、宏達国際電子(HTC)従業員の中国への漏洩事件よりひどいと憤っている。

 ただ、林恩平ラーガン執行長はこれまで何度も、金銭が目当てでなく、先進光電から損害賠償を得れば、公益事業、または上場企業の特許に関する意識向上に用いると話している。

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