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日本製納豆5千セットを緊急回収、しょうゆたれ産地が茨城県


ニュース 食品 作成日:2016年12月12日_記事番号:T00067919

日本製納豆5千セットを緊急回収、しょうゆたれ産地が茨城県

 日本から台湾に輸入・販売されていた納豆に、福島原発事故による輸入規制地域の茨城県で生産されたしょうゆたれが入っていたことが分かり、11日までにデパートなどの売り場から計5,142セットが回収された。検査の結果、放射能は検出されなかったものの、台湾大手各紙は、こうした付属品は検査の抜け穴になっていると問題視。専門家からは、万全な検査体制を築くのは困難だとして、性急な輸入規制緩和に反対する声が挙がっている。12日付蘋果日報などが報じた。

/date/2016/12/12/00food_2.jpg問題となったしょうゆたれのビニールパック。TFDAは、輸入業者と食品業者は十分な注意を払うべきと指摘した(11日=中央社)

 しょうゆたれが茨城産であることが分かったのは、神奈川県川崎市の納豆メーカー、カジノヤの「小粒納豆」。発泡スチロールの容器入り4個を1セットとして販売している。先週、蘋果日報に対し、同製品はパッケージには神奈川県産と印刷されているが、容器内のしょうゆたれは、ビニールパックに「茨城県下妻市産」と記されており、台湾吉野家に供給されているとの情報が寄せられた。

 衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)で調査したところ、「小粒納豆」は吉野家のほか、新光三越百貨、太平洋崇光百貨(太平洋そごう)、ジェイソンズ・マーケット・プレイス、大潤発(RTマート)などの百貨店、スーパーマーケットでも販売されていることが分かり、11日までに計5,142セットが撤去された。吉野家と新光三越は納豆を使った商品を購入した顧客に対し返品の受け付けている。

 カジノヤの製品では「からしも旨い小粒納豆」もしょうゆたれが茨城産であるとの情報が11日新たに寄せられ、販売店は追加撤去に追われた。

「茨城県産とは知らず」

 「小粒納豆」を輸入した、日本食品の輸入・卸売業者、太冠国際開発事業はTFDAの事情聴取に対し、「小粒納豆」のしょうゆたれは以前は産地表示がなかったのになぜ突然表示されるようになったのか分からないと回答。台湾が輸入規制対象にしている茨城県産だったとは知らなかったため、日本の輸出企業側に確認したいと話した。

 太冠国際は昨年、福島県など輸入規制対象5県の商品を「東京産」と偽って台湾に輸入して、食品安全管理法違反により3万台湾元(約11万円)の罰金処分を受けている。今回「再犯」となれば、罰金は最高で300万元に上る恐れもある。

輸入規制緩和、「春節前は困難」

 今回の問題について、林口長庚紀念医院臨床毒物科の顔宗海主任は、加工食品のビニールパック入り調味料は、食品の産地から追跡する制度がない限り輸入規制の抜け穴になる恐れがあると指摘。税関での商品の分解検査も行うべきと主張した。

 また、台湾師範大学化学系の呉家誠教授は、台湾は白血病の原因となり得るストロンチウムを検査対象としておらず、性急な輸入規制緩和は市民を放射能の危機にさらすことになると反対論を訴えた。

 なお、蔡英文政権は、来年の春節(旧正月、2017年は1月27日)前に、全数検査方式によって群馬、栃木、茨城、千葉の4県の食品輸入規制緩和に踏み切ると伝えられていたが、11日付自由時報電子版によると、政府高官は10日、国民党による住民投票運動もあって情勢が複雑化しているとして、「春節前に決定できる可能性は著しく低くなった。現時点でスケジュールは定まっていない」と発言した。

 一方、輸入解禁の是非を問う住民投票の実現を目指す郝龍斌国民党副主席は11日、「われわれの調査では市民の約6割が住民投票による決定に賛同している」と指摘。住民投票を請求するための第一段階の約9万4,000件の署名集めは達成が視野に入ったと話した。同党の許淑華立法委員(南投県)は、「市民の8割以上が福島県など5県の食品に強い懸念を抱いており、蔡政権には国民の健康を犠牲にしないよう望む」と訴えた。