ニュース 社会 作成日:2016年12月12日_記事番号:T00067945
周囲を海に囲まれた台湾の海岸線は全長1,500キロメートルにも及ぶ。しかし西海岸では沿岸部で開発が進んだことや台風などの自然現象により長期にわたり砂の流出が進んでおり、一部では50年の間に1キロも海岸線が後退しており、養殖業や観光業にも影響が及んでいる。
経済中央地質調査所の調べによると、海岸の侵食が深刻な地域は12カ所に及び、過去30年間で100~650メートルの海岸線の後退が見られるという。
成功大学水利・海洋工程学系の董東璟副教授は、西部沿岸地域で海岸線の浸食が進んでいるのは、沿岸地域での工業園区や港湾の開発、防波堤など人工物の建設により砂の供給源が立たれたことが大きな要因となっていると指摘。これに気候の変化による海面の上昇、台風や高潮の増加が加わり、事態は深刻度を増しているという。
台南市の黄金海岸はかつて夕日がビーチを赤く染める光景で知られていたが、ここ20年で砂浜は平均30メートル以上後退。このため、砂の流出を防ごうと水利署は浜から100~200メートル離れた海中にテトラポットを設置した。しかし、美しい夕景が人工物に邪魔される事態となっている。
また台湾本島最西端に位置する灯台、「国聖灯塔(台南市七股区、別名・七股灯塔)」は1957年に砂州によって外海から隔てられた「七股潟湖」の北側に位置する砂州「網仔寮沙洲」に建てられたが、砂の流出や台風の影響で1969年に倒壊。同年、元の位置より約4キロ南に位置する頂頭額沙洲に移設された。それでも当時、灯台の西側には一面の砂浜が広がっていたが、現在では見渡す限りの海となっており、さらに侵食から灯台を守ろうと周囲には堤防が築かれ、テトラポットが設置されている。
なお七股潟湖はカキの養殖で有名だが、近年では砂州の後退、消失などの影響で大量の砂が潟湖に流入し、漁船の航行にも支障が出ているという。
このほか、高雄港の対岸に浮かぶ細長い島、旗津でも4~5年ほど前に砂浜がほとんど消失。台風が来るたびに海岸に大波が打ち寄せ、観光客のみならず、地元の家屋にも危険が及ぶ状態となったため、海岸沿いにテトラポットが高く積まれた。
こうした状況に董副教授は、屏東県の墾丁など海岸線の保護に一定の成果が挙がっている事例もあるが、個別のケースにとどまっており、政府の対策は全体的な計画性、持続性に欠けると批判。ゆっくりでもいいから長期にわたり継続して対策を進めることが重要だと指摘している。
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