フォード車生産・販売の福特六和汽車は14日、国産初のディーゼル乗用車、新型「フォード モンデオ TDCi」を発表した。ガソリン価格の高騰を受け、同社はコストが割安なディーゼル車を強化する方針で、今後、生産全体に占めるディーゼル車の割合を3割以上にまで引き上げる考えだ。15日付工商時報などが報じた。
新車保証制度の保証期間を、今回から業界最長の「3年・走行距離無制限(営業車を除く)」に設定し、ディーゼル車市場開拓の武器にする。写真はディーゼルの「旗艦」タイプ(福特六和提供)
新型モンデオの販売価格は、排気量2リットルのディーゼルエンジン搭載「TDCi」が、▽経典、88万9,000台湾元(約297万円)▽豪華、94万9,000元▽旗艦、101万元──の3車種だ。また、2.3リットルガソリンエンジン搭載は、▽経典、81万9,000元▽豪華、88万9,000元▽旗艦、94万9,000元──だ。台湾の国産大型車の87%がこの価格帯で、価格競争力は十分とにらんで、年間3万台の中大型自動車市場に挑んでいく。
ジェフリー・ネメス同社総裁によると、第1四半期の台湾のディーゼル車の市場シェアは4.94%に過ぎず、今後の発展余地が大きい。原油価格の高騰で、西欧諸国では既に利用率が7割以上に達している。同社でも、昨年末の台北国際オートショーから現在までの間、予約の8割がディーゼルタイプになっているという。
5年で6.6万元の節約
ディーゼル車の人気の理由は、燃費の良さだ。
新型フォード モンデオの燃費は、ディーゼルタイプで1リットル当たり▽市内、12.5キロメートル▽高速道、17.79キロメートル▽平均、14.5キロメートル──。ガソリンタイプでは、▽市内、9.38キロメートル▽高速道、14.85キロメートル▽平均、11.2キロメートル──だ。
福特六和によると、ディーゼルタイプでは、5年または走行距離10万キロメートルで、トヨタの「カムリ2.4G」に比べて6万6,000元も節約することができるという。
企業経営者もディーゼル車
ディーゼル油の価格は、オクタン価95、98ガソリンと比べて、1リットル当たり3元以上安い。このため、量販店の大潤発(RTマート)を傘下に持つ潤泰集団(RUENTEX)の尹衍梁総経理や、台湾大哥大(タイワン・モバイル)の張孝威総経理など、大企業の経営者でもディーゼル車を選んでいる人がいる。
一方で、超大企業の経営者の場合、ガソリン代も気にならないらしく、ディーゼル車に乗る人は多くはない。そうした経営者は高級ガソリン車を選択すると工商時報は指摘している。
ディーゼル車市場、各社が注力
自動車業界では、各社が競ってディーゼルタイプを投入している。最近では、裕隆通用汽車傘下で欧州車輸入販売の欧宝汽車が、独オペルのコンパクトミニバン、「ザフィーラ」や、韓国現代自動車の代理店、南陽実業がLSUV「サンタフェ」、中華汽車工業が第4世代「パジェロ」のほか、BMWの台湾総代理店、汎徳公司もディーゼルセダンを発売している。