ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

東日本の被災地食品、輸入解禁見合わせ


ニュース 食品 作成日:2016年12月16日_記事番号:T00068035

東日本の被災地食品、輸入解禁見合わせ

 行政院は16日午前、福島原発周辺4県からの食品輸入規制緩和について、十分な管理体制が構築できるまで、開放を見合わせると発表した。先月規制緩和案を公表して緩和に取り組む姿勢を明確にしたものの、先週より各地で規制対象地域産の食品が販売されているのが相次いで見つかり、市民の間で管理体制に対する批判が高まった。野党・国民党が政治問題化する動きを見せたこともあり、この状況で推進を続けた場合、蔡英文政権への不信感がさらに高まりかねないとの判断が働いたとみられる。

/date/2016/12/16/00top_2.jpg食薬署は消費者に対し、中国語の表示をよく確認して購入するよう呼び掛けた。中国語表示がない場合は、検査を受けていない並行輸入品の可能性があるという(15日=中央社)

 行政院の徐国勇報道官は、福島県を含む5県産の食品の輸入を停止しているが、他県産の食品は輸入しており、即席麺の付属品など管理が徹底しておらず、検査に漏れがあったと語った。今後3回の公聴会は予定通り開催し、民間団体や専門家から意見を募り、管理体制の強化に役立てると説明した。

 衛生福利部食品薬物管理署(TFDA、食薬署)の15日発表によると、これまでに摘発、または業者が自主申告した東日本4県産の食品は29品目。うち17項目は放射線検査中で、他12品目は基準値超の放射線量は検出されなかった。店頭から撤去された食品は4万3,043件に上った。

 林全行政院長は15日夜、食薬署の検査で、現在の水際検査体制が不十分なことが明らかになったとフェイスブック(FB)に投稿。同日午後の会議で、まず食品の安全管理体制を構築し、市民の信頼を回復しない限り、規制緩和措置は検討できないとの結論に至ったと記していた。

根強い反対

 台湾政府は11月上旬、福島県の食品と周辺の東日本4県(群馬、栃木、茨城、千葉)の高リスク食品(飲料水、乳幼児用粉ミルクなど)以外の低リスク食品は産地証明書と放射性物質検査報告書を添付すれば輸入できるようにする輸入規制緩和案を公表した。

 これを受け、各地で開催した公聴会は激しい抗議活動で大荒れとなったほか、雲林県など地方議会が東日本4県産食品の県市内での販売禁止を決めるなど、反対の声が相次いだ。こうした中、大橋光夫交流協会会長が早期の輸入規制緩和を求めて「日本国民をひどく傷つけている」と発言したことで反発が一層強まり、国民党の郝龍斌副主席を中心とした輸入規制緩和の是非を問う住民投票の推進運動が起きている。

 さらに今月11日以降、納豆パックのしょうゆだれなどが4県産と判明し、新光三越百貨、太平洋崇光百貨(太平洋そごう)などが商品を店頭から撤去。政府は現状のまま、輸入解禁を推し進めるのは困難と判断するに至った。