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原発周辺食品、台北市が廃棄処分へ


ニュース 食品 作成日:2016年12月19日_記事番号:T00068069

原発周辺食品、台北市が廃棄処分へ

 行政院は16日午前、福島原発周辺5県のうち福島を除く4県からの食品輸入規制の緩和を当面見合わせると発表したが、台湾が食品の輸入を禁止している福島原発事故周辺4県で製造されたたれやスープが封入された日本製食品が市販されている状況が引き続き見つかっている。

 17日付中国時報などによると、台北市政府衛生局と衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)は13、15の両日、台湾無印良品が輸入した「炊き込みごはんの素」、朋軒が輸入した納豆「道産大粒納豆」など5種類、3,247点の商品を店頭から撤去するとともに、回収を進めていることを明らかにした。近く廃棄処分を行う。

 TFDAによると、台湾無印良品の「炊き込みごはんの素」は、表示されている製造地は宮城県だったが、封入されているスープが栃木県産だった。これまでに輸入した1,800パックのうち638パックを店頭から撤去した。

 さらに、18日付蘋果日報によると、即席麺のスープで群馬県産、カップスープの海藻で千葉県産が発見されたほか、かんきつ類加工品の販売業者の住所が栃木県だと発覚し、商品が撤去された。

 台北市政府衛生局は業者に対し、19日までに自主的にチェックと通報を行うよう呼びかけ、従わない場合には、食品告発も辞さないと警告している。

 TFDAは台湾全土で日本から食品を輸入している103社について調査を行い、輸入禁止5県での生産工程を含む食品39種類を摘発し、計6万点以上を店頭から撤去した。輸入業者には法律に従い、3万~300万台湾元(約11万~1,100万円)の罰金が科される。

焼却処分に「放射能懸念」の声

 回収済みの食品の処分でも「放射能に汚染されている恐れがある」として、自治体は焼却処分に消極的な立場だ。

 17日付中国時報によると、台北市環境保護局は、メーカーが福島原発周辺5県の食品を廃棄処分にする場合は、放射能が検出されていないことを示す政府認証の提出を義務付けることを決めた。桃園市もそれに倣う構えだ。

 台北市環境保護局の蔡玲儀副局長は「商品が撤去されたということは安全上の懸念があることを示すもので、焼却炉周辺の住民の気持ちを考えれば、回収商品は日本に返送することを優先してもらいたい」と呼び掛けた。

検査に穴、環境団体が関係者処分要求

 福島原発周辺5県からの食品輸入を禁止していながら、相次いで検査の網をかいくぐった食品が見つかったことを受け、環境保護団体の「緑色消費者基金会」などは、官庁の担当者処分、水際での取り締まり強化、輸入解禁に向けた公聴会の延期を求める共同声明を出した。

 声明は政府に過去5年間の検査記録の公表を求め、全ての書類に責任の所在を明らかにするための署名を付けるべきだとした。その上で、民放射能検査の全過程をオープンにすることを衛生福利部に求めた。また、福島原発周辺5県の食品輸入を禁止するだけでは不十分で、その他地域の高リスク食品にも規制を拡大すべきだとした。

野党国民党、25日に大規模抗議行動

 野党国民党は政府が規制緩和の延期を決めた後も、引き続き住民投票実施に向けた署名運動を進める一方、25日には輸入規制解禁に関する公聴会会場の包囲を含む抗議行動を予定している。さらに「1万人以上の規模」での集会も計画している。