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オバマ大統領、トランプ氏の台湾関連発言にくぎ


ニュース 政治 作成日:2016年12月19日_記事番号:T00068081

オバマ大統領、トランプ氏の台湾関連発言にくぎ

 オバマ米大統領は16日、任期内最後の年末記者会見を開き、トランプ次期大統領は中台に対する「一つの中国」政策の変更に軽々しく言及すべきではないとくぎを刺した。ロイター通信などが伝えた。

 オバマ大統領は「中国にとって台湾問題は最優先の問題だ。『一つの中国』という概念は中国の国家概念の中核を成すもので、それを覆そうとすれば、どんな結果を招くかを考えるべきだ」と指摘。「中国のこの問題に対する処理方式は他の問題とは異なる」との見方を示した。

 オバマ大統領はまた、「台湾人は一定の自治を保ち続けられるならば、独立を推進したり宣言したりしないとの点で同意している。この現状は全ての当事者を満足させるものではないが、平和が維持され、台湾を成功した経済体にさせることにもつながり、台湾住民も高度の自決権を享受できている」と述べた。

 オバマ大統領の発言について、台湾総統府は「民進党政権が主張する現状維持路線は、蔡英文総統が5月の就任式や10月の国慶節で行った演説ではっきりと説明されている。それは台湾の自由、民主、台湾海峡の平和、両岸(中台)関係の平和と安定という現状を維持するということだ。これは政府が堅持する立場であり、台湾社会の普遍的な共通認識だ」とコメントした。

 ただ、台湾の沈呂巡元駐米代表は、オバマ発言の単語の細かい使い方に懸念を示した。オバマ発言の「台湾人は一定の自治を保ち続けられるならば、独立を推進したり宣言したりしない」という一節で、自治を示す「autonomy」という単語が用いられたことについて、沈元駐米代表は「台湾が『香港・マカオ化』する恐れがある」として、米国側に抗議すべきだとの認識を示した。

 沈元駐米代表は「autonomyという単語を台湾に用いるのは不適切で、台湾の国際的地位を引き下げるだけだ。(米国の)台湾関係法のどこを見ても、autonomyという文字は出てこない」とし、「われわれには独自の外交、軍隊があり、自治体ではあり得ない」と主張した。

 米国在台協会(AIT)元主席でブルッキングス研究所北東アジア政策研究センター所長を務めるリチャード・ブッシュ氏は16日、聯合報に対し、「オバマ大統領の言葉の使い方は正確さを欠き、台湾の一部の人を心配させかねない。ただ、『一つの中国』を保証することが狙いではないことは確かだ」と述べた。

 ブッシュ氏はまた、「台湾人は高度の自治を享受しているとオバマ大統領が述べただけで、中国は面白くないはずだ」とも語った。

 その上で、ブッシュ氏は「オバマ政権の任期は35日を残すだけであり、米国の台湾・対中政策がどうなるかはトランプ次期大統領によって決まる」と指摘した。