ニュース その他分野 作成日:2017年1月5日_記事番号:T00068318
「一例一休」(法定休日と所定休日を7日間に各1日)方式による完全週休2日制導入などの改正労働基準法(労基法)で、労使双方だけでなく、物価上昇など市民生活にも影響が出ると批判が相次ぐ中、郭芳煜労働部長は4日、上半期は猶予期間とし、第3四半期から企業への労働検査(立入検査)を開始すると表明した。企業の人事部の77%が新制度について理解不足との認識で、準備期間ができたのは朗報だが、故意による違反は労働検査の対象となり得るので注意が必要だ。一方、産業界は政府に対し、企業経営の実態を理解し、施行6カ月後に見直しを行うべきと提言した。5日付経済日報などが報じた。
郭労働部長。産業界の不満の前に半年間もの猶予期間設定を迫られた形だ(4日=中央社)
行政院は4日午後、各部会(省庁)とともに記者会見を行った。その中で郭労働部長は、第1四半期は周知、第2四半期は指導を主に行い、企業や労働者の理解度を高め、第3四半期から厳格な労働検査を行うと述べた。猶予期間であっても、故意による違反に対する告発があれば、労働検査を行うと強調した。
郭労働部長は猶予期間の原則として▽労基法改正の意義に沿い、適切な解釈を行う▽柔軟かつ実質的で、
実行可能な対処を行う──を挙げた上で、労働者の権益が損なわれないことが最も重要と指摘した。
郭労働部長は労基法改正について、▽労働者の35%に当たる200万人以上が週休1日で働いており、週休2日制を実現し、出勤する場合は時間外労働手当が支給されるようにする▽週休2日で働いている労働者の61%に対しても、時間外労働手当を増額する▽過去15年間問題となっていた公務員と労働者の国定休日を一致させる──などの目的を達成するものと説明した。
時間外手当は過重負担
中華民国全国工業総会(工総、CNFI)の許勝雄理事長は、週休2日制は政策の大きな変化のため猶予期間が必要で、特に中小企業、サービス業、慈善団体にとって必要と語った。また、政府は業種ごとの実情を調査を通じて把握し、見直しを図るべきで、全業種に同じ物差しを当ててはならないと訴えた。
中華民国全国商業総会(商総)の頼正鎰理事長は、週休2日制で1日出勤すれば約3日分の賃金となるが、実際には企業が支給し切れず、労働者も受け取れないのではないかと語った。また、週休2日制は各界の合意を得ず、補完措置もないままに決定され、コスト増は企業が想定していた2~3%から5~8%に跳ね上がったと述べた。労働者にとっても、例えば3交代制が4交代制になって土曜のシフトがなくなれば収入が減ると指摘した。
企業の61%、Q1求人計画あり
大手求人情報サイト、1111人力銀行の調査によると、企業の人事部の68%が新制度によって影響が出ていると回答した。影響は非常に大きいとの回答も10%以上に上った。特にサービス業、交代制や急な受注で残業が発生する製造業にとって打撃が大きい。
企業に与える影響は、▽人件費の増加、7割▽人員配置が困難、3割▽時間外手当が増加、26%──との回答で、対策として▽交代制を見直す▽非正規社員の雇用を増やす▽正社員の雇用を増やす──などが挙がった。
第1四半期に求人計画を立てている企業は61.7%と、昨年同期より8.2ポイント増加した。募集人数は平均14人と、調査開始以来5年半で最高だった。
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