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17年半導体市場、TSMCが4%拡大予測


ニュース 電子 作成日:2017年1月13日_記事番号:T00068490

17年半導体市場、TSMCが4%拡大予測

 ファウンドリー最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀(モリス・チャン)董事長は12日の業績説明会で、2017年の半導体の世界市場規模は前年比4%成長、うちファウンドリー市場は7%成長するとの見通しを示した。今年、スマートフォンの世界市場は6%成長するとの予測も示しており、半導体業界はスマホ向けの需要によってけん引される状況が続くと展望しているようだ。13日付工商時報が報じた。

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 スマホの通年市場規模は15億5,000万台に達し、出荷成長率見通しはハイエンド機種が3%、ミドルエンドが5%、ローエンドが8%と、低価格機種の成長がより高いとみている。パソコンの出荷成長率はマイナス5%、タブレットPCはマイナス7%の予測で、半導体市場をけん引するのは困難との見方だ。一方、IoT(モノのインターネット)市場は34%の大幅成長を見込む。それでも、依然市場が小さいため貢献度は限定的なようだ。

Q1とQ2、連続前期割れへ

 張董事長はTSMCの売上見通しについて、17年上半期は前年同期比約10%増、下半期は同5%増、通年では前年比5~10%増となり、過去最高を記録した前年を上回ると予想した。昨年売上高は9,479億台湾元(約3兆4,500億円)だったため、今年は1兆元達成が有望だ。

 ただ、第1、第2四半期に2期連続で前期割れとなり、下半期にようやく成長を取り戻すとの流れを予想している。例年は第2四半期より前期比プラスに転じており、工商時報は成長がずれ込む原因について、大口顧客である米アップルのスマホ「iPhone7」が今年上半期は販売減少が見込まれること、今年下半期に発売が見込まれる「iPhone8」向けの10ナノメートル製造プロセス採用のプロセッサーは、出荷が第3四半期になることを挙げた。

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 また、20年までは売上高の年間複合成長率(CAGR)が5~10%で推移するとみている。

 先進プロセスの取り組みについて張董事長は、10ナノは既に量産に入っており、今後四半期ごとに生産能力を拡大し、第3四半期には売上高の10%を占めるとの予測を示した。また7ナノはリスク生産(試験生産)に入り、顧客20社を獲得しており、年内に15社の製品のテープアウト(設計完了)を目指すと話した。7ナノの量産は18年を見込んでおり、開発スピードは他社を上回っていると説明した。

残業時間の上限緩和を提言

 今年から導入された改正労働基準法(労基法)による週休2日制(一例一休)について張董事長は、24時間工場を稼働している半導体産業にとって影響は大きいとして、業界ごとに労働時間に柔軟性を持たせるべきとの考えを示した。

 何麗梅財務長は、TSMCは一例一休に対応しているが、所定休日に勤務した場合、実質労働時間が2時間でも4時間で換算することになったため、1カ月の時間外労働時間の上限が46時間では不合理だと指摘。54時間前後に引き上げれば生産ラインの人員配置で柔軟に対応できるとして、政府に緩和を行うよう呼び掛けた。

/date/2017/01/13/00TSMC_2.jpg張董事長は、北中南の3カ所の科学工業園区間でエンジニアのやり繰りができることがTSMCの強みだと述べ、これに見合った労務制度が必要との認識を示唆した(12日=中央社)