ニュース その他分野 作成日:2017年1月13日_記事番号:T00068512
台湾では多くの企業が春節(旧正月、2017年は1月28日)前に「年終奨金(年末賞与)」を支給します。この時期になると、毎年「例年と比べて年末賞与は多いか少ないか」ということがニュースになりますよね。
誰もが気になる話題ですが、今年はどうでしょうか?年末賞与は企業の業績状況や景気状況を暗に示しているといわれているますが、それは本当なのでしょうか?
年末賞与、昨年より微減
ワイズリサーチは08年より9年間連続で、在台日系企業向けに賞与アンケートを実施しており、昨年12月末に在台日系企業160社からのご協力をいただきました。
調査結果を見てみると、在台日系企業の今年の年末賞与は平均2カ月で、昨年の2.04カ月から0.04カ月減。年間総賞与は平均2.92カ月で、昨年の3.24カ月から0.32カ月減となりました(図1)。
賞与の支給状況は昨年より少なくなる傾向です。では、在台日系企業の賞与支給は本当に業績状況に影響されるのでしょうか?
調査結果によると賞与の決定基準は▽1位、「台湾拠点の税引き前利益」▽2位、「従業員のパフォーマンス」▽3位、「会社規程」──でした。
さらに在台日系の業績状況について伺った結果、16年の税引き前利益予測は▽増益、34%(前年比9ポイント減)▽横ばい、36%(8ポイント増)▽減益、(横ばい)──でした。業績は大きく落ちていないが、横ばいという結果になっています。
ここまで在台日系企業の年末賞与支給状況を紹介しましたが、台湾企業の年末賞与はどうなるか気になりますよね。
台湾最大手の人材バンク「104人力銀行」の「16年年末賞与予測」調査によると、台湾企業935社の年末賞与の平均見込み支給月数は1.27カ月で、昨年から0.08カ月増となり、在台日系企業と異なって支給月数が伸びています。
104人力銀行は、行政院主計総処による今年の経済成長率予測値が、前年より0.63ポイント高い1.35%に設定されたことを受けて、企業が年末賞与を引き上げたと分析しています(図2)。
まとめますと、在台日系企業の年末賞与の支給月数は昨年比で低下しましたが、台湾企業よりは0.73カ月多いという結果となりました。
自動車業界が支給月数トップ
在台日系企業では「自動車業界」が3年連続で賞与支給トップとなりました。今年の年末賞与の支給月数は平均2.37カ月、年間総賞与では4カ月となりました。しかし昨年の自動車業界の年末賞与は平均3.11カ月、年間総賞与は4.20カ月となり、合計では0.2カ月減となりました。
次に支給状況が良かったのは「化学業界」です。原油安による利幅拡大、東南アジアなど新興市場の旺盛な需要により、年末賞与の支給月数は平均2.11カ月で、年間総賞与は3.40カ月になりました。
3位は人材紹介会社、美容関係サービス、通信サービス、技術サービスなどの「その他サービス業界」です。年末賞与の支給月数は平均1.99カ月でやや少ないですが、年間総賞与は化学業界と同水準の3.40カ月です。16年上半期の賞与支給状況は良かったのですが、下半期は業績の伸び悩みが影響したようです。
固定賞与と変動賞与の変化
業績の良しあしにかかわりなく必ず支給する固定賞与については、13年は在台日系企業の73%が支給したものの、3年後の16年には54%まで減少しました。
また13年には固定賞与のみ支給する在台日系企業が44%も占めていましたが、今年は29%まで減少しました。一方、企業の業績と連動して変わる変動賞与を支給する企業は、13年の56%から16年には71%まで増加しました。また変動賞与のみ支給する企業は13年の27%から16年には46%まで増加しました(図3)。
在台日系企業の賞与支給の仕組みが明らかに変化しています。従業員は個人評価に基づいた賞与支給を希望しているほか、在台日系企業の経営は安定期に入り、今後大幅な成長は見込めないことから、限られた人件費を有効的に活用できる仕組みに変えています。
2016年 在台日系企業賞与レポート
在台日系企業160社の賞与データを分析
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https://goo.gl/kzJb8Y
段婉婷
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