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一例一休を酷評、市民の半数が低評価=旺旺中時


ニュース その他分野 作成日:2017年1月16日_記事番号:T00068514

一例一休を酷評、市民の半数が低評価=旺旺中時

 旺旺中時媒体集団の世論調査で、改正労働基準法(労基法)による「一例一休」(法定休日と所定休日を7日間に各1日)方式での週休2日制導入に対し、低い評価を下した市民が50.6%(複数回答)に上った。強行採決で同法案を成立させた民進党の立法委員からも、補完措置を検討する必要があるとの声が出てきた。経済部の調査によると、最も影響が大きい飲食業では、時間外労働の手当が営業費に占める割合が5.9%上昇する計算だ。飲食業界の昨年の利益率13%が大幅に低下する恐れがある。15日付中国時報などが報じた。

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値上げは別の理由

 経済部が台湾大学国家発展研究所に委託した調査によると、飲食業のうち、レストランの路面店は人件費が6.32%上昇、ドリンクスタンドや屋台などその他飲食業は3.23%上昇する予測だ。小売業、百貨店やコンビニエンスストアなどの総合商品小売業は1~2%上昇、製造業や卸売業は1%以下の上昇との結果だった。

 台湾大学国家発展研究所の辛炳隆副教授は、飲食業は店舗の賃料上昇、原材料価格の上昇などの影響もあり、5%を超える値上げは一例一休だけが理由ではないと指摘した。また、病院など医療保健業は人件費4%上昇と影響が大きい一方、運輸倉庫業は1.62%上昇にすぎないので、バス運賃の値上げはこれまでのコスト上昇を反映したものと分析した。

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 餃子(ギョーザ)チェーン最大手、八方雲集は、今回の値上げは原材料価格の上昇が主因で、一例一休の影響は大きくないと説明した。コンビニの関係者は、最低賃金の大幅上昇の方が一例一休より影響が大きいと話した。

 富邦集団の蔡明忠董事長は、一例一休は値上げの口実だと指摘。富邦金融控股の蔡明興董事長は、台湾はこれまで長年、物価が低かったので、適度なインフレは経済発展に必要だと語った。

民進党、補完措置検討の声

 旺旺中時媒体集団の世論調査(複数回答)は今年1月12日に実施し、818件の有効回答を得た。最も低い評価の法改正を問う質問に、一例一休を挙げた回答は、支持政党別でも▽泛藍(汎国民党陣営)、64.4%▽中間層、48.7%▽泛緑(汎民進党陣営)、37.7%──と、差はあるもののいずれも高かった。

 年齢別では▽40代、61.4%▽30代、59.3%▽50代、54.3%──、地域別では▽台中・彰化・南投、54.9%▽桃園・新竹・苗栗、54.5%▽雲林・嘉義・台南、54.4%──、学歴別では▽専科学校(日本の高等専門学校、短期大学に相当)、62.2%▽高校、56.5%▽大学・大学院、52.6%──だった。

 民進党の黄偉哲立法委員は、市民が給与か休息のいずれを求めているのか、一例一休に不満なのは企業なのか労働者なのかを見極めなければならないと話した。呉玉琴立法委員は、改正労基法は施行したばかりで、労使の間のすり合わせ(調整)が必要だと述べた。

 趙天麟立法委員は、一例一休は所定休日(休息日)の時間外労働手当の増額が目的ではなく、週休2日制の実現による過労防止が趣旨であるはずが、われわれの説明が不十分だったと反省の念を述べた。

【図】【表】