ニュース その他製造 作成日:2017年1月20日_記事番号:T00068621
米国大統領に現地時間20日就任するトランプ氏は、台湾の製造業回復を妨げる可能性がある最大の不確定要素との見方が19日、工業技術研究院(工研院、ITRI)産業経済趨勢研究センター(IEK)から示された。トランプ氏は保護貿易主義を主張し、外国企業に対しても米国での生産を要求。中国からの輸入製品に高い関税を課す可能性があり、その他の要因も合わせれば、台湾の製造業が2017年に減速する確率は25.6%との試算をはじき出した。20日付工商時報が報じた。
第45代大統領に就任するトランプ氏の動向を、全世界が固唾(かたず)を飲んで見守っている(20日=中央社)
IEKの張超群副主任は、台湾製造業の景気は底打ちし、緩やかな成長が続くと見込まれるが、トランプ氏は最も太っていて大きな「ブラック・スワン」(めったに起こらないが、壊滅的被害をもたらす事象)で、台湾の産業界に与える影響を注視しなければならないと語った。このほか、米国の追加利上げが為替相場に大きな変動をもたらし、台湾の製造業の原材料コストや完成品価格に影響を及ぼす恐れがあると指摘した。
IEKの陳志強副組長は、台湾製造業の17年生産額の成長を削ぐ要素として、トランプ新政権の保護貿易主義に加え、▽欧州の政情不安による金融市場への影響▽中国の「供給側改革」──を挙げた。
2.5%成長、予測を上方修正
世界の半導体需要が高まり、台湾の輸出も回復する中、IEKは製造業の17年生産額は17兆3,200億台湾元(約63兆円)で前年比2.52%増(15年8.73%減、16年3.97%減)と予測した。前回予測より1.52ポイントの上方修正となった。
製造業の4分野のうち、化学工業の17年生産額予測は前年比5.48%増(15年17.57%減、16年6.02%減)と、前回予測より4.25ポイントの上方修正だ。産油国の減産による原油価格上昇、台湾景気の回復が貢献した。
このほか、▽情報電子、3.47%(15年2.91%減、16年2.4%減)▽民生工業、0.92%(15年1.92%減、16年1.85%減)──がプラス成長を取り戻す予測だ。金属機電は0.6%減(15年9.67%減、16年5.08%減)の予測だった。
半導体業の17年生産額は前年比7.2%増と、今年の2兆4,300億元(7.5%増)並みの伸びが続く予測だ。
米中関係、経済を優先
トランプ氏が「一つの中国」に縛られない考えを示していることから台湾海峡の緊張が高まると懸念される中、トランプ氏の政権移行チーム顧問を務める共和党親台派のスティーブン・イエーツ氏は18日、トランプ氏は中国との経済関係を優先するため、台湾は心配する必要はないと述べた。
一方、行政院大陸委員会(陸委会)の邱垂正副主任委員は、米国の新政権に対し、台湾関係法と「6項目の保証」を米台関係の基礎とし、中華民国の両岸(中台)政策を支持してほしいと呼び掛け、台湾を「交渉のカード」とすべきでないと強調した。
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