中台間の直航便実現後、中国に観光旅行に行きたいと考えている人が71%に上ることが、米市場調査会社のACニールセンが行った最新のアンケート調査で明らかになった。馬英九次期総統は、週末チャーター便の7月4日からの運航を目指しており、北京や上海も「週末旅行圏」に入ることになる。中国観光での商機は少なくとも2割は成長するという試算も出ている。18日付蘋果日報が報じた。
調査によると、「必ず行く」と答えた人は32%で、「たぶん行く」が39%。以下、▽分からない、19%▽たぶん行かない、5%▽行かない、4%──となった。特にホワイトカラー層では84%が「行きたい」と回答、また、45~49歳の年齢層では「必ず行く」が58%に達するなど、経済力に余裕がある層ほど関心が高いという結果となった。台湾ニールセンの蔡翠真執行総監は、「航空業界や観光業界にとって潜在成長力の高い、大きなビジネスチャンスだ」と指摘した。
同調査は3月26日から4月1日まで、インターネットを通じて行われ、15~49歳までの1,029人からの回答を得た。
「休暇を取る必要なくなる」
康福旅行社の陳振宏副総経理によると、既に直航便利用の各種中国観光プランを企画しており、週末2日コースでは、北京、上海、アモイへの旅行が可能だという。上海を例に挙げると、これまでの香港、マカオ経由で片道5~6時間かかっていた飛行機での移動時間が1時間半に大幅短縮できる。また、旅行者がさらに2日余分に休みを取れるのであれば、蘇州など江南地方の観光地を訪れることも可能だ。
サラリーパーソンの張明偉さん(26)も、中国旅行はこれまで休暇を取らなければは不可能だったが、金曜日の夜に上海や北京に着いて、日曜日の夜に台湾に帰って来れるようになれば、「香港やマカオに行くのと変わらず便利だ」と歓迎する。
域内旅行への影響は微少
旅行商業同業公会全国聯合会は、直航便が実現すれば、これまでトランジットの煩雑さを敬遠してきた旅行者も中国を選択肢に入れるようになり、中国観光関連の商機は初年度で従来の200億台湾元から240億元(約810億円)まで成長すると予測している。
世新大学観光系の陳墀吉副教授も、「従来の旅行日程を丸1日短縮できる。時間コストを重視する台湾人にとって魅力だ」と直航便のメリットを語り、東南アジア行きを計画していた旅行者の一部が中国に流れる可能性もあると語る。ただ、域内旅行への影響については、「異なったカテゴリーのため、短期的には影響は大きくない」と分析する。
4万人の人材不足も
なお、直航便で最も利用したい航空会社の1位は長栄航空(エバー航空)、2位は中華航空(チャイナエアライン)、3位キャセイ・パシフィック航空の順となった。人材派遣業者は、直航便による観光産業の活性化により、下半期には4万人以上の人材不足が発生すると予測しているが、エバー航空の聶国維副総経理は、「現在の陣容で開放当初の需要には対応できる」としながらも、来年以降直航便の便数や路線が拡大するようであれば、人員を増やす可能性もあるとしている。
またある旅行業者は、多くの業者は4年前既に直航便をにらんで事業規模の拡大を進めたが、その後政策決定が遅れ苦しい経営を強いられてきたと指摘し、「直航便が開放されれば、これら業者は直ちに関連業務をスタートさせ、今後人材の需要は最も高くなる」との見通しを語った。