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H5N6鳥インフル対策、屠殺・移動を7日間全面禁止


ニュース 社会 作成日:2017年2月17日_記事番号:T00068999

H5N6鳥インフル対策、屠殺・移動を7日間全面禁止

 H5N6型の高病原性鳥インフルエンザウイルス感染拡大を防ぐため、行政院農業委員会(農委会)は17日から7日間、家禽の屠殺(とさつ)、移動を禁じると発表した。H5N6型は中国でヒト17人への感染報告があり、致死率は70%。台湾では16日までに5県市9カ所で検出された。ウイルスの潜伏期間は6~7日程度とされ、早期対応で被害を抑え込む狙いだ。農委会は在庫量は十分と説明したが、一部の飲食店は鶏肉メニューの販売停止や休業を迫られそうだ。17日付経済日報などが報じた。

/date/2017/02/17/00h5n6_2.jpg鳥インフル中央災害対策センター指揮官の林聡賢・農委会主任委員(右2)は16日、最近の感染拡大、およびヒト感染の可能性から、厳しい防疫措置を決めたと説明した(16日=中央社)

 鳥インフルエンザ中央災害対策センター(中央災害応変中心)は16日の会合で、17日午前0時から24日午前0時まで家禽の移動を禁じ、24日正午まで食肉処理場を休業すると発表した。屋内で飼育し、食肉処理場に直接出荷するブロイラーと生後1日のひな鳥は対象外。洗卵・消毒した卵は、指定の獣医師の証明書添付があれば、輸送、販売できる。違反には最高10万台湾元(約37万円)の罰金を科す。

 農委会畜牧処の試算によると、台湾のブロイラー生産能力と、海外から輸入するため現在船上にある鶏肉を合わせれば4万トン以上で、3日間の消費量に対応できる見通しだ。このほか、2日分の消費量に相当する冷凍鶏肉が10万羽(約200トン)あり、アヒルは5,000羽の在庫がある。

 台湾でのH5N6型ウイルス初検出は2月5日(花蓮県)。これまでに▽宜蘭県▽雲林県▽嘉義県▽台南市──に拡大した。

 台湾では鳥インフル感染拡大を受け、2015年にも家禽の屠殺、移動を禁じる防疫措置を2回(各3~4日間)実施したが、業界の損失額は70億元にふくらんだ。今回は先手を打ち、打撃を最小限に抑制したい考えだ。

5月末まで価格上昇も

 ブロイラー大手の大成集団、台湾卜蜂企業、台栄産業は、窓のないウインドウレス(閉鎖)鶏舎で飼育しているブロイラーが大部分のため、量販店やスーパーマーケット、レストランやファストフードなどへの出荷に影響は出ないと強調した。

 ただ、16日の2キログラムブロイラー価格は1台斤(約600グラム)当たり27元と、昨年9月以来の最高となった。ガチョウやアヒルなどの価格も5~10%上昇した。

 業界関係者は、10~15%の減産が予想され、端午節(旧暦5月5日、2017年は5月30日)まで価格が大きく変動すると予測した。

 台湾の年間ブロイラー消費量は45万~50万トン。台湾での生産量が30万トンで、残りは輸入している。

鶏排・北京ダックに影響

 高級ホテルの台北喜来登大飯店(シェラトングランド台北ホテル)は、館内のバーで提供していた海南鶏飯の提供を一時停止するほか、館内レストランの辰園(ドラゴン)の北京ダックなど、鶏肉料理の提供を見合わせる可能性があると説明した。台北威斯汀六福皇宮(ザ・ウェスティン台北)は、館内レストランの頤園の北京ダック提供は当面問題ないが、ビュッフェの鶏肉料理は豚肉や牛肉に変更する可能性があるとした。

 ファストフード大手のマクドナルド、ケンタッキーや、鶏排(台湾風フライドチキン)大手の継光香香鶏は、大手から閉鎖鶏舎のブロイラーを調達しているので、影響はないと表明した。鶏排屋台の豪大鶏排は、在庫だけでは足りないので、来週21日から3日間セントラルキッチン(集中調理施設)を停止し、北部の一部店舗を交代で休業すると説明した。

 市民からは、よく火を通せば大丈夫との声や、しばらくは心配なので食べないようにするとの声が聞かれた。