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一例一休、産業空洞化を加速も=工総・商総アンケート


ニュース その他分野 作成日:2017年2月20日_記事番号:T00069052

一例一休、産業空洞化を加速も=工総・商総アンケート

 週休2日制(一例一休)などを盛り込んだ改正労働基準法(労基法)施行を受け、コストを価格に転嫁しづらい受託生産メーカーをはじめ、企業の14.2%が生産ラインの移転や発注先変更を考えていることが経済団体のアンケート調査で分かった。日米などの外資系企業も撤退を検討していると考えられ、台湾の産業空洞化を加速させる恐れがある。経済団体は政府に対し、誰にもメリットのない政策で、(猶予期間の)半年を待たずに見直すべきだと提言した。20日付蘋果日報などが報じた。

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 経済団体の中華民国全国工業総会(工総、CNFI)と中華民国全国商業総会(商総)は19日、企業会員に対して1月20~26日に実施したアンケート調査を発表した。有効回答件数は735件。

 調査によると、企業の72.8%が人件費が毎年3%以上増えると予想している。67.4%は「七休一」(7日ごとに1日の法定休日設定)によりシフト勤務スケジュールが困難、67.8%が時間外勤務手当の計算方法に納得できないと回答した。

 現状について、企業の6.2%は廃業もやむを得ないと回答した。対応策について、15.5%は自動化の導入を加速する、46.3%は製品やサービスの値上げを検討すると回答した。

 工総の蔡練生秘書長は、輸出型産業の場合は、国際競争力を考えれば、コストを価格に上乗せできないので、企業の利益が縮小し、賃金を引き下げる可能性があると語った。特に受託生産メーカーは、生産ラインを海外に移転するしかないと述べた。

 蔡秘書長はまた、内需型産業の場合は、コストを価格に転嫁できるが、これにより物価上昇を招くほか、残業を減らし昇給ペースを落とすことで、従業員の収入減少につながると指摘した。

 工総は、特に労働集約型産業や比較的小規模な企業は、人件費の占める割合が大きいので、経営を圧迫し、存続が危ぶまれると警告した。一企業の人件費は最大12億8,000万台湾元(約47億円)増える見込みだ。

労働部長、「理解求める」

 行政院の徐国勇報道官は、届いた意見を尊重し、施行状況の把握に務めるとコメントした。郭芳煜労働部長は、見直す予定はなく、周知や指導で労使に理解を求めると強調した。

 アンケートによると、企業が見直しを望んでいる部分は、▽所定休日(休息日)の時間外勤務手当は4時間以下でも4時間分を支給する規定を取り消してほしい、21.8%▽所定休日の時間外勤務手当は「休暇日」(「国定休日」や有給休暇)と同様に賃金倍額支払いにしてほしい、18.7%▽所定休日の時間外労働時間(4時間単位で計算)を延長労働時間に含めないでほしい、15.9%▽時間外労働時間の上限の月46時間をさらに引き上げてほしい、15.7%▽「七休一」規定を緩和してほしい、14.3%▽2週間・4週間・8週間単位の変形労働時間制の適用業種を拡大してほしい、14.3%──など。

【表】