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米系企業46%に追加投資計画なし、中台関係・労基法を懸念


ニュース その他分野 作成日:2017年2月21日_記事番号:T00069075

米系企業46%に追加投資計画なし、中台関係・労基法を懸念

 台湾に進出している米国企業で構成する台北市米国商会(商工会議所)が20日発表した2017年商業景気調査で、今後1年間は台湾で追加投資、組織拡大を行わないとの回答が46.9%と、過去5年で最も高くなった。台湾での事業展開の懸念事項としては、▽行政手続き▽両岸(中台)関係▽労働基準法(労基法)の不透明さ──の回答が多かった。米国商会は台湾政府に対し、投資障壁を除去し、法規の改革を進めなければ外資を台湾に呼び込めないと提言した。21日付聯合報などが報じた。

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 米国商会は10年から毎年、台湾商業景気調査を行っており、今回の調査は昨年10~12月に実施したもの。

 調査では、在台米系企業の45.9%は今後12カ月の間に台湾で追加投資や組織拡大を行う計画だと回答した。前年より2ポイント上昇したものの、13~15年の49.5~52.5%より依然低かった。一方、今後12カ月の間に台湾で追加投資、組織拡大を行わないとの回答も前年比2ポイント上昇し、13~15年の39.4~45.4%を上回った。

 台湾での事業展開の懸念事項(複数回答)は、▽煩雑な行政手続き、39.9%▽中台関係、36.4%▽労基法の不透明さ、34.7%▽法執行の基準がバラバラ、33.5%▽台湾政情不安、30.6%──の回答が多かった。

 米系企業の49%は、6直轄市政府が外資の投資を奨励しているものの、投資環境や法規は好意的と言い切れないとの認識を示した。6直轄市の投資に関する法規が明快だとの回答は1割にすぎなかった。台湾企業並みの待遇を受けているとの回答は35%で、6直轄市政府から支援や優遇を受けたことがないとの回答は36%に上った。

 米国商会の章錦華(アルバート・チャン)会長は、台湾が国際社会で貿易協定を締結できず、孤立化が進むことを外資系企業は懸念していると述べた。その上で台湾政府に対し、米台間の貿易投資枠組み協定(TIFA)を通じて米国と貿易交渉を行い、2国間協定のチャンスを模索するよう提言した。

 聯合報は、これまでの調査では台湾の環太平洋経済連携協定(TPP)参加が最大の関心事項だったが、米国はTPP離脱が決定しており、台湾は今後、法執行の基準不一致など実質的な貿易障壁を撤廃することが、外資を台湾に誘致し、孤立化を防ぐ方法だと訴えた。

景気楽観、48%

 今後5年の台湾の景気見通しについては、「楽観」「やや楽観」が合わせて48.6%で前年比2ポイント上昇した。「横ばい」は32.4%で過去最高だった。「やや悲観」と「悲観」は合計19%で前年比5ポイント下落した。

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 調査結果に対し総統府は、最近の政府や民間機関の景気予測はいずれもポジティブだと強調した。行政院の徐国勇報道官は、週休2日制(一例一休)などの改正労基法を懸念する結果について、今後の政策の参考にするとコメントした。

【図】