ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

TSMC5ナノ開発順調、 試験生産19年上半期に前倒し


ニュース 電子 作成日:2017年2月24日_記事番号:T00069163

TSMC5ナノ開発順調、 試験生産19年上半期に前倒し

 ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の劉徳音・共同執行長兼総経理は23日、2019年上半期に製造プロセス5ナノメートルのリスク生産(試験生産)を開始する予定で、世界をリードすると語った。従来予定していた20年より半年以上の前倒しだ。24日付経済日報などが報じた。

/date/2017/02/24/tsmc_2.jpg

 劉共同執行長は、年度サプライチェーン管理フォーラムで講演し、最新のロードマップを説明した。TSMC設立30周年に当たる今回は、台湾や海外のサプライヤー600人以上が集まり、過去最高の出席者数となった。

 劉共同執行長は、10ナノプロセスは昨年第3四半期に量産を開始しており、今年第1四半期の出荷に向けエンジニア3,000人以上と作業員1,500人以上が準備を急いでいる状況で、下半期には出荷量が大幅に増える見通しだと話した。7ナノプロセスは今年第1四半期末に試験生産を行い、18年に量産に入る予定だ。さらに18年に極端紫外線(EUV)露光技術を採用した強化版を発表すると話した。市場では、EUV技術を使った量産は19年とみられていたため、予想より早まる見通しだ。

 証券会社は、TSMCは10ナノプロセス競争でインテルやサムスン電子をリードしていると指摘。7ナノプロセスは、アップルの次世代プロセッサーを受注後、前世代より短期間でリリースすることで、今後の受注競争を有利に進められると予測した。

 一方、劉共同執行長は3ナノプロセスについて、エンジニア100人以上がロードマップづくりに取り組み、工場用地の検討していると説明した。3ナノプロセスは、楊弘毅科技部長が昨年12月に南部科学工業園区(南科)高雄園区(高雄市路竹区)で計画していると無断公表してしまった経緯があり、発言にはインテル、サムスンなど競合の警戒心を低める狙いがあるとみられる。

スマートカーに期待感

 劉共同執行長は、今年の設備投資は100億米ドルで、研究開発(R&D)費は15%増えると語った。市場では、R&D費は25億米ドルに上り、過去最高を更新すると予測されている。

 劉共同執行長は、今後▽モバイルコンピューティング▽オートモーティブ▽IoT(モノのインターネット)▽高性能計算(ハイパフォーマンスコンピューティング、HPC)──を推進すると述べた。

 特にモバイルコンピューティングは▽VR(仮想現実)/AR(拡張現実)▽人工知能(AI)▽ディープラーニング(深層学習)──など応用先が広く、ムーアの法則(半導体の集積密度は18~24カ月で倍増する)がまだ続く必要があるとの見方を示した。

 自動車に関しては、スマートカーに大量のセンサー、RF(高周波)技術、MCU(マイクロコントローラ)が必要だと指摘し、先進運転支援(ADAS)や無人運転はまだ始まったばかりだと期待感を示した。

使用電力21%削減へ

 また、劉共同執行長はサプライヤーに対し、共同開発だけでなく、クリーンな製造にも協力してほしいと要請した。25年にウエハー1枚当たりの使用電力を21%減らす目標だ。うち既存設備の使用電力を14%減らし、新設備の使用電力を30%減らす一方、資源回収率95%は維持すると説明した。

/date/2017/02/24/00tsmc1_2.jpg劉共同執行長(右)は、アプライドマテリアルズなど優良サプライヤー11社を表彰し、協力と貢献に対する感謝の意を示した(23日=中央社)