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桃園空港MRTが正式開通、「時間が読める」と好評


ニュース 運輸 作成日:2017年3月2日_記事番号:T00069226

桃園空港MRTが正式開通、「時間が読める」と好評

 台北駅~桃園国際空港など桃園市を結ぶ桃園機場捷運(桃園空港MRT)は2日午前6時、始発便が発車し、正式運行を開始した。始発便に乗車した日本人旅行者や北京出張の台湾人は「到着時間が読めるのが何よりのメリット」と口をそろえた。台北市内に戻る便では、「定期券なら高くない」と通勤の足をバスから変更したビジネスパーソンと乗り合わせた。旅行やレジャーだけでなく、通勤の足としても重宝されそうだ。

/date/2017/03/02/00mrt1_2.jpg自動販売機は紫色が乗車券購入、青色は悠遊カードなどの購入やチャージ用。いずれも日本語対応がある(2日=YSN)

 始発便の「直達車」は、4両編成の車両に各10~15人を乗せ、台北駅(A1)を午前6時に出発。トンネルを抜けた後、淡水河を越え、山を背にしたビルやマンションを臨みながら、新北産業園区(A3)駅に6時9分に到着。山間を通り、トンネルから煙の出る工場を目にしつつ、長庚医院(A8、桃園市亀山区)駅に6時22分に到着。中山高速公路(国道1号)と一部並走し、住宅や水田などのどかな風景を眺めていると、左手に中華航空(チャイナエアライン)の駐機場が現れ、桃園空港第1ターミナル(A12)駅に6時36分、第2ターミナル(A13)駅に6時38分に到着した。ほぼ定刻通りの運行だ。

 第2ターミナル駅の改札を出ると、エレベーターか傾斜状の動く歩道で出発ロビーがある4階まで5分ほどで着いた。非常にスムーズに到着した印象だ。

/date/2017/03/02/00mrt4_2.jpg桃園空港の改札を出て迷わず出発ロビーに向かうことができる(2日=YSN)

 台北駅~桃園空港の運賃は通常160台湾元(約590円)。開通記念で4月1日までの1カ月間は半額となる。

快適な車内

 始発電車を利用した30代の日本人女性は、台湾に来たのは3回目で以前は高速バスを利用していたが、開通記念で運賃が安いし、台湾の公共交通機関は信頼できるので乗車してみたと話した。発車を知らせるベルもなく扉が閉まったことや、直達車の2人掛けのクロスシートが進行方向を向いている座席と、逆方向の座席があることに驚きを示していた。 

 出張で北京に行く20代の台湾人女性2人組は、これまでバスやタクシーを使っていたが、桃園空港MRTは運賃も高くないし、到着時間が分かるためとても便利で、今後も使いたいと話した。

/date/2017/03/02/00mrt3_2.jpg高速道路が渋滞していてもスーイスイ(2日=YSN)

 無料試乗期間の週末は、日本の朝のラッシュ時と変わらないほどの混み具合だったが、始発便は有料化、かつ早朝だったこともあり、静かでゆったり座れた。目線が高いので景色も良く、桃園空港行きは進行方向の右側の方が、やや広々とした車窓が楽しめそうだ。

直達車は紫、普通車は青

 台北駅に戻る第2ターミナル駅のホームでは、「直達車」か各駅停車で約50分かかる「普通車」かと係員に問う乗客が多かった。台北駅はそれぞれのホームが異なるが、第2ターミナル駅は同じホームに停車するので注意が必要だ。列車の表示をしっかり見るか、中国語や英語が苦手な場合は▽直達車、紫色・クロスシート▽普通車、青色・ロングシート──で見分ければよい。

 7時11分発車の直達車に乗車した40代の台湾人男性は、これまでバスで通勤していたが、渋滞で2時間かかることもあるので、今後は運賃が40%引き相当になる桃園空港MRTの定期券を利用すると話した。

 途中の長庚医院(A8)駅から乗車してきた30代男性は、高速バスなら回数券があり、自身が乗る路線バスは33元しかかからないと話した。ただ、バスは満員で乗れないときもあるし、桃園空港MRTは時刻表があり、何よりとても快適だと強調。桃園空港に行く際、子供2人を連れているときは自家用車に乗るが、1人ならば桃園空港MRTに乗ると語った。

高速バスから乗り換えか

 桃園空港MRTは、自動販売機で乗車券が購入でき、悠遊カード(イージーカード)などが使えることや、台北駅や桃園空港の改札までの案内表示が分かりやすい点が、地理に不慣れな旅行者にとって大きなメリットだ。ただ、車両内のスーツケース置き場は1両に3カ所しかなく、3段の一番上に重いスーツケースは乗せ難い。また、座席の下に収納できるのは20インチのスーツケースのため、どちらかといえば、通勤や出張のビジネスパーソンに利用価値が高そうだ。

/date/2017/03/02/00mrt2_2.jpg車両内で航空機の運行状況を確認できるので安心だ(2日=YSN)

 記者が早朝に乗車したタクシーの運転手は、タクシーなら片道40分、メーターで1,250元程度で到着するため、複数の人数で乗車したり、スーツケースが重い場合は、自宅からドア・ツー・ドアのタクシーを選ぶと話し、乗客離れを心配していなかった。

 一方、インタビューした乗客はほとんど、これまでは高速バスを利用していた。国光客運の台北駅~桃園空港の運賃は125元。桃園空港MRTの方が運賃はやや高いが、清潔な車内や定刻運行を強みに、高速バスからの乗り換えが進みそうだ。