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桃園空港MRT、初日利用者わずか4.6万人


ニュース 運輸 作成日:2017年3月3日_記事番号:T00069248

桃園空港MRT、初日利用者わずか4.6万人

 台北駅と桃園国際空港など桃園市を結ぶ桃園機場捷運(桃園空港MRT)は、2日の開通初日の延べ利用者数が4万6,000人と、損益分岐点10万人の半分以下だった。鄭文燦桃園市長は、当面の赤字はやむを得ず、今後バスやタクシーなど他の交通機関から25~40%が桃園空港MRTに乗り換えるため、乗客が増えるとの見通しを示した。バス会社の国光客運は同日、台北駅~桃園空港線の利用者数が約3割減少した。電子回数券サービスや24時間運行のアピールで乗客を取り戻す構えだ。3日付聯合報などが報じた。

/date/2017/03/03/00mrt_2.jpg桃園空港MRTは、普通車の搭乗率向上が課題となりそうだ(中央社)

 桃園空港MRTの初日の延べ利用者数は、無料の試乗期間の最高17万人にはるかに及ばなかった。停車駅が少ない「直達車」は、桃園空港を利用する旅行者などが乗車したものの、各駅停車の「普通車」は空席が目立った。台北市のベッドタウン、新北市林口区に隣接する桃園市亀山区の長庚医院(A8)駅は、通勤客の利用が少なく、普通車はほぼ空席だった。

 鄭桃園市長は、大病院の林口長庚紀念医院で働く2万人、工業団地の華亜科技園区で働く3万人、桃園空港で働く3万人が乗客として見込める上、沿線の商業施設でのショッピングや病院への見舞いなども少なくないと期待を寄せた。当面は1日当たり延べ4万5,000人の利用を見込む。桃園空港の延べ利用者は年間4,000万人だ。

 運営会社の桃園大衆捷運(桃園メトロ)の陳凱凌総経理は、1日延べ200万人が利用する台北MRT(都市交通システム)でも本業は年間6億~7億台湾元(約22億~26億円)の赤字で、広告や商業施設の賃料などの営業外収益に頼っていると指摘した。

 なお、直達車の台北駅発車時間は午前6時から0分、15分、30分、45分と15分間隔。最終便のみ午後10時58分に早まるので、注意が必要だ。桃園空港第2ターミナルの発車時間は午前6時12分~午後10時42分。

通勤客に割高感

 一方、沿線の通勤客からは「桃園空港MRTを利用してみたが、かかる時間はバスと変わらない」「運賃が高い割に、台湾鉄路(台鉄)より速いわけでもない」「選択肢が増えただけ」などの声が聞かれた。

 長庚医院(A8)駅の隣の林口(A9)駅には普通車しか停車せず、台北(A1)駅まで8駅で、片道約30分で通常運賃が80元かかる。定期券なら48元、団体用の定期券なら40元となる。一方、▽バス、37元(40~60分)▽自家用車、50~60元(30~40分)▽バイク、15~20元(50~60分)──と、渋滞がなければ所要時間の違いは数十分にすぎないため、初日は林口の通勤客に敬遠されたようだ。

 なお、桃園空港MRTは4月1日まで運賃が半額となる。4月2日より10人以上の団体なら20%引き。ほかに▽1カ月、30%引き相当▽2カ月、35%引き相当▽3カ月、40%引き相当──の定期券や、300人以上で100日間なら50%引き相当となる「通勤135団体優待」がある。

高速バス、バックパッカーに照準

 一方、台北駅~桃園空港駅の場合、▽桃園空港MRT直達車、160元(36分)▽桃園空港MRT普通車、160元(50分)▽台湾高速鉄路(高鉄)桃園駅でバスに乗り換え、190元(47分)▽国光客運、125元(オフピーク時45分)──。

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 国光客運の呉忠錫総経理は、台北駅~桃園空港の1819便は片道約55分で125元、往復なら230元と、桃園空港MRTより安いと説明した。日中ピーク時は10分間隔、オフピーク時は15分間隔の運行で、バスは必ず座れると強調した。

 同社は同日、台鉄台北駅ビルの東側に新ターミナルビル「国光客運台北ターミナル」をオープンした。桃園空港行きバス乗り場は目の前に変更された。呉総経理は、桃園空港線は従来1日当たり延べ1万人が利用しており、海外からの個人旅行者が半分を占めると述べた。バックパッカーは未明に到着することも多く、国光客運台北ターミナル2階にソファーや洗面所を用意し、ゆっくり休憩できるようにすると話した。

/date/2017/03/03/00bus_2.jpg国光客運台北ターミナル2階は工事中で、月末に完成予定だ(3日=YSN)

 また同日、1819便をはじめ17路線の電子回数券(15%引き相当)に対応する、記名式の悠遊カード(イージーカード)の販売を開始した。発行手数料は100元で、3月中は無料、4月は半額だ。

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