ニュース その他分野 作成日:2017年3月13日_記事番号:T00069415
無料通話・メッセージアプリ「LINE(ライン)」で退勤後に会社から業務連絡のメッセージを何度も受け取った元従業員が時間外勤務手当を請求した案件について、新北市労使争議仲裁委員会は残業と認定し、雇用主は残業手当2,598台湾元(約9,600円)を支給すべきと判定した。LINE使用に残業認定が下されたのは初のケースだ。2015年の案件のため、週休2日制(一例一休)導入前の労働基準法(労基法)が適用される。労働部は、今なら所定休日(休息日)の1分間の労働でも時間外勤務手当は4時間分になると指摘した。柯文哲台北市長は「そんなうまい話があるのか」と疑問を投げ掛けた。一例一休の運用上の課題が改めて浮き彫りとなっている。13日付工商時報などが報じた。
柯台北市長は、一例一休の最大の問題は、政府が細かく管理し過ぎることだと批判した(中央社)
新北市中和区の電子部品メーカーの庶務アシスタントだった女性は2015年2月に業務縮小を理由に解雇された後、同年6月に仲裁を申し立てていた。女性は、庶務のため従業員とのやり取りが多く、休暇中もLINEで仕事をしていたとして、通話記録を提出した。一方、雇用主は、月30~40分程度にすぎない上、電話料金の補助金200元も支給していたと主張した。
新北市仲裁委員会はこのほど、1回10~100分の通話記録を基に、雇用主の主張は事実と異なると判断。女性は退勤後も雇用主の指揮命令下にあったと見なし、LINEのメッセージを1通読むのに1分間かかるとして、月給2万5,200元のため1分1.75元、時間外労働時間1,365分(平日358分、休日1,007分)で、残業手当は2,598元と計算した。
労工局によると、仲裁は裁判より所要時間が短く、判決と同じ効力を持つ。仲裁を行うには労使の合意が必要だが、雇用主側が同意しないことが多く、労使争議年間4,000件のうち仲裁案件は10件ほど。過去3年の労使争議の仲裁案件は45件で、新北市が34件を占めた。
時間外勤務手当の請求権の時効期間は5年。離職後に仲裁や訴訟を起こすケースが多い。
柔軟対応を=産業界
中華民国全国工業総会(工総、CNFI)の蔡練生秘書長は、LINE使用について、例えば「あす午前8時から会議開催」などの連絡は残業扱いにならないが、退勤後に時間を割いて対応しなければならないなら残業扱いになるとの見解を示した。その上で、一例一休が導入されてから労使の関係が緊張しており、ルールに柔軟性がないと対立がますます深まると懸念を示した。
サラリーパーソンの男性は、会社が従業員を尊重にしていれば問題は起きないが、会社が従業員を搾取すれば、従業員はがめつくなるものだと話した。
台北市、処罰ゼロ
一例一休に関連して、王鴻薇・台北市市議会議員(国民党)は、今年の2月末までに台北市に870件の陳情が寄せられ、労基法違反が大半を占めると説明。労働者が勇気を出して声を上げているのに、台北市政府は対応していないと批判した。
柯台北市長は12日、当初の3カ月間は周知期間なので、陳情や検挙で問題点を整理し、企業を指導するが、まだ処罰はしていないと説明した。
行政院の徐国勇報道官は、柯台北市長をはじめ各界の声は届いており、労働部が引き続き周知を徹底すると述べた。ただ、法改正の予定はないと強調した。
労働部の見解不一致も
一例一休の周知期間として、労働部や県市政府の労工局は計100回以上の説明会を開催しているが、特に休息日に関しては担当者によって見解が割れており、現場の混乱が続いている。
例えば、▽休息日に出勤を命じ従業員が休暇を申請したものの、それでも出勤した場合の時間外労働時間の計算方法▽休息日に出勤を命じ従業員が出勤に同意したものの、結局出勤しなかった場合の皆勤手当の判断▽休息日に有給休暇(特別休暇)を申請できるのか──などだ。
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