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南投県長が一例一休の不施行検討、地方首長の反乱始まる


ニュース その他分野 作成日:2017年3月14日_記事番号:T00069444

南投県長が一例一休の不施行検討、地方首長の反乱始まる

 改正労働基準法(労基法)による週休2日制(一例一休)導入に関する議論が絶えない中、林明溱南投県長(国民党)は13日、同県で一例一休を施行しないことを検討するよう法制担当者に指示した。林南投県長は、南投県は観光が主力で、観光業界は週休2日制の通りに労働者を休ませたり、高額の時間外労働手当を支給すれば立ち行かなくなるし、労働者は残業代がなくては生活が苦しくなると説明し、中央政府からの処分は覚悟していると述べた。柯文哲台北市長(無所属)に続き、一例一休に対する地方首長の「反乱」が始まった。14日付聯合報などが報じた。

/date/2017/03/14/00top_2.jpg柯台北市長は一例一休問題で連日政府への批判を繰り広げている(13日=中央社)

 林南投県長は同日の県務会議の席上で法制担当者に対し、南投県が一例一休を施行しなくて済む関連法令を探し出すようにと指示した。

 林南投県長は、南投県の観光施設は毎年5~6月や11月のオフシーズンは週末しか従業員を出勤させず、夏季休暇や冬季休暇のオンシーズンはほぼ全員を出勤させるような柔軟な体制で、労使が協力し合っていると説明した。もし一例一休に従えば、中国人観光客が大幅に減少して打撃を受けているレジャー施設やホテルに追い打ちをかけると述べた。

 林南投県長は、企業だけでなく、労働者からも苦情を受けていると語った。労働者の大部分は月給2万台湾元(約7万4,000円)余りで、残業手当で3万元に近づけていたが、一例一休導入によって企業は人手不足を臨時雇いで賄うようになったと説明した。

 林南投県長は、もし一例一休を施行せず、旧制度を維持できれば、労使双方にとってメリットが多いと述べた。有権者に選ばれた首長である以上、市民の声を反映するのは当然で、例え中央政府から戒告や注意を受けても構わないと語った。さらに、国民党所属だから与党民進党に反抗するのではなく、問題は一例一休にあると強調した。

 これに対し廖蕙芳・労働部政務次長は13日、一例一休を含む改正労基法の効力は台湾全域に適用され、一部県市が守らないことはあり得ないと批判した。

 一方、林全行政院長は14日、一例一休の目的は労働者の過労を防ぎ、権益を守ることだと強調。行政院は引き続き対話と情報収集を続け、周知期間終了後に問題点を検討すると語った。

民進党首長もため息

 一例一休に対する企業や労働者の不満の声を受け、国民党の林南投県長だけでなく、沈黙を続ける民進党の首長も、中央政府が早急な解決策を提示するよう待ち望んでいるようだ。

 鄭文燦桃園市長(民進党)は、労働部は地方産業界や労働者の声を軽視すべきでないと語る。労使協議の制度や休日の時間外労働手当の支給基準など施行細則をきちんと定め、市民の疑問を早急に解決するべきとの意見だ。

 林俊憲立法委員(民進党)は、民進党政権下での法改正にはわれわれに全責任があり、もし労使間の問題が発生すれば、メンツにこだわらず、改善すべき点は改善すべきだと指摘した。

 ある民進党の関係者は、誰も公の場では発言できないが、柯台北市長の「政府は口を出し過ぎ」「ルールが複雑過ぎて労働部さえ理解し切れていない」などの発言は、民進党の首長の心の声を代弁していると語った。

 柯台北市長は13日、周知期間の3カ月間は企業を処罰せず指導にとどめ、中央政府に対し対応方法を6回も問い合わせたが、毎回「検討中」として具体的な回答が得られず、「(企業や労働者と中央政府の)間に立たされて苦しい」と話した。柯台北市長は中央政府に対し、早急に問題点を整理し全土統一基準を制定してほしいと語った。