おかっぱ頭のヘアスタイルをトレードマークに1980年代から90年代にかけて絶大な人気を誇った司会者でコメディアンの猪哥亮（70）は現在、末期の大腸がんを患い、台湾大学付属病院に入院している。その入院先にこのほど、父親の過去の悪行を恨み、対面を拒否し続けていた娘の台湾語歌手、謝金燕（42）が面会に訪れ、約18年ぶりに父娘の和解が実現した。

謝金燕と猪哥亮の連名による「死亡説」否定の声明。謝金燕も長年の父親への冷たい態度を謝罪した（28日＝中央社）

　派手な女性関係とギャンブル好きで知られた猪哥亮は４度の結婚を経験しており、謝金燕の母親は２番目の妻に当たる。しかし２人の結婚生活はうまく行かず、猪哥亮は謝金燕の母親に暴力を振るったり、浮気相手を同居させるなど非道ぶりを発揮したという。

　その後、２人は離婚したが、猪哥亮は賭博で多額の借金を背負い「海外へ行く」と言い残して失跡。09年に台南市のいなかで逃亡生活を送っているところをメディアによって発見されたことがきっかけとなり約10年ぶりに芸能界に復帰。テレビで冠番組を持ち、往年と変わらぬ人気ぶりを発揮した。

　なお謝金燕は90年にバラエティー番組で芸能界デビュー。その後、ドラマ出演などを経て93年に歌手に転じ、父親が行方をくらましている間に台湾語ポップスを代表する歌手に成長した。

　そんな彼女の活躍を猪哥亮も喜んでいたようで、復帰後、テレビを通じて何度も「会いたい」と呼び掛けていた。しかし謝金燕は母親に対する猪哥亮の過去の仕打ちをどうしても許すことができず、絶縁状態が続いた。

　しかし今月中旬、病状の悪化に伴い猪哥亮が入院したとの知らせを受けた謝金燕は19歳の息子を連れて病床の父親を見舞いに訪れ、ついに父娘の再会を果たした。なお、きのう（28日）、台湾メディアでは猪哥亮が死亡したとのニュースが流れたが、これに対し謝金は猪哥亮と連名で死亡説を否定する声明を発表。その中で彼女は「父とは既に和解した」と表明し、病院でつきっきりの看病に努めており、父親からは毎日のように謝罪を受けていると明らかにした。

　猪哥亮の病状は予断を許さない状況ともされるが、ようやくかなった愛娘や孫との幸せな時間を過ごしていることだろう。