長栄航空（エバー航空）が2013年に公開したイメージＣＭで、俳優の金城武が田園の木の下に腰を下ろしてお茶を飲みながら休憩するシーンが印象的と評判を呼び、ロケ地の台東県池上郷の農道「伯朗大道」は一躍、人気観光地と化した。ＣＭに登場したアカギの木は「金城武の木」と呼ばれ、観光客が必ず記念撮影を行うスポットとなった。その農道にこのほど人気女性歌手の蔡依林（ジョリン・ツァイ）が訪れ、「金城武の木」とは別の木の下で記念撮影を行ったことが話題となり、地元役場には「蔡依林の木はどこ？」との問い合わせが増えているという。

「蔡依林の木」。後方には「金城武の木」も写っている（11日＝中央社）

　蔡依林は先週末、友人と台東旅行へ出かけたもようで、３日に自身のフェイスブック（ＦＢ）ページに同県の海岸や三仙台風景特定区などの観光スポットで撮った写真を投稿。さらに５日には池上郷の伯朗大道を散策したり、サイクリングを楽しむ様子などを写した写真４枚を投稿。そのうちの１枚は、１本の木の下で友人たちと一緒に撮影したもので、「私たちの木を見つけた！」との言葉が添えられており、この記事を見たファンからは「自分も行ってみたい」とのコメントが相次いだ。

　なお池上郷公所（役場）に最近、多くの市民から「蔡依林が写真を撮ったのはどの木？」との問い合わせがあり、当初、職員には何のことか分からなかったが、その後蔡依林のＦＢを見て事情を把握。話題となっているのは「金城武の木」から約200メートル離れた別のアカギの木と特定した。

　「蔡依林の木」が生えている土地の地主によると、この木は50年ほど前に、田植えの際に休憩できる日陰を作ろうと植えたものだそうだ。今回話題となったことについては「観光客が池上の美しさを楽しんでもらえるのはうれしい」と歓迎している。

　また郷公所でも新たな観光客の誘致材料ができたと喜んでいるようで、今後「蔡依林の木」周辺の清掃に努めるほか、かつて台風で倒れたことのある「金城武の木」の二の舞いとならないよう保護態勢を強化する考えだ。