ニュース その他分野 作成日:2017年4月14日_記事番号:T00070000
林全行政院長は13日、ボイラー6,000基の交換や、飲食店7,000店の油煙(オイルミスト)回収装置の設置を促進するなど14項目の大気汚染防止対策を発表した。官民で2,150億台湾元(約7,700億円)投じ、2年半でPM2.5(微小粒子状物質)濃度を18.2%引き下げ、先進国レベルまで改善する目標だ。ただ、中国から流入するPM2.5の影響が30%以上を占めており、効果は限定的とならざるを得ない。14日付工商時報などが報じた。
林行政院長は、経済発展を理由に大気汚染対策を講じないわけにはいかないと強調した(13日=中央社)
林行政院長は、昨年10~11月に桃園市から屏東県まで一面が視界不良となったことは忘れがたく、官民が協力して目標を達成したいと述べた。投資額の内訳は、政府が365億元、台湾電力(台電、TPC)が101億元、民間投資が1,684億元。
大気汚染物質の固定発生源への対策は、▽発電所の規制▽ボイラー規制▽飲食店の油煙規制▽風俗習慣上の行事のための焼却行為の見直し▽建設現場や堆積場の規制▽農業廃棄物の焼却行為の規制▽河川の規制──、移動発生源は▽第1期、2期ディーゼル大型貨物車の廃車▽第3期ディーゼル車への排気微粒子除去フィルター(DPF)装備▽2ストロークエンジンバイクの廃車▽港湾や運輸規制▽野菜運搬車の電気自動車(EV)化▽公共交通機関の利用促進▽鉄道輸送力の増強──。
これらにより、PM2.5濃度を1立法メートル当たり22マイクログラムから18マイクログラムに引き下げ、大気汚染の指標となる空気質指数(AQI)が赤(指数151~200・全ての人にとって不良)を超える観測地点を年間延べ997カ所から528カ所へと、47%削減する目標だ。
行政院環境保護署(環保署)の李応元署長は、中部以南のPM2.5濃度は年間平均で1立法メートル当たり20マイクログラム以上だと説明した。また、PM2.5発生源には固定発生源、移動発生源のほか、その他の非点源発生源があり、これが夏季は10%、春と秋は30%以上、冬季は40%以上を占めると指摘した。このうち中国の影響が冬季は39.2%、年間平均で30.2%と大部分を占めている。
ホテルや病院も対象
大気汚染防止対策として具体的には、産業用ボイラー5,000基、ホテルや病院、学校などの中小型ボイラー1,000基を天然ガス(LNG)ボイラーに転換するため、政府から1基当たり40万元の補助金を支給する。2020年7月1日からはばい煙排出基準を厳格化する。
中大型の飲食店7,000店以上には油煙回収装置の設置を求める。登記されている飲食店7万店の1割に相当する。政府関係者は、チェーン店など3万店には既に設置されていると語った。さらに将来、住宅街に油煙を排出する飲食店を設置できないようにする方針だ。
第1期、2期ディーゼル大型貨物車は8万台全てを廃車にするため、1台当たり20万元の補助金を支給する。2ストバイクは19年末までに100台を廃車にするため、1台当たり1,500元を補助する。
環保署の李署長は、高雄市と屏東県では今後3年で対象のディーゼル車1万7,000台、2ストバイク37万台を廃車とする目標だと説明した。高雄市の1人当たりバイク保有台数は0.7台以上と、台北市の2倍以上で、台北と周辺は人口過密ながら空気が比較的きれいだと述べた。
環保署の蔡鴻徳・空気品質保護と騒音管制処長は、6月末に法改正案を提出し、指定地域には第1期、2期ディーゼル車や2ストバイクが進入できないようにすると述べた。
中央政府の大気汚染対策に対し林佳龍・台中市長は、TPC台中発電所による大気汚染が市民の脅威であるため、新北市の林口発電所と同様に厳しく管理してほしいと注文を付けた。
一方、環境保護団体は、補助金措置ばかりでは根本的な解決に至らないと批判した。
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