ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

鶏卵からダイオキシン、14万個を回収


ニュース 農林水産 作成日:2017年4月24日_記事番号:T00070158

鶏卵からダイオキシン、14万個を回収

 苗栗県の卸売業者が仕入れた鶏卵から規制値の2倍を超えるダイオキシンが検出され、供給元とみられる彰化県芳苑郷の養鶏場3カ所に出荷禁止措置が取られた。大手百貨店も予防的な撤去を行うなど、台湾各地で回収・撤去された鶏卵は23日午後までに計14万個に上った。汚染源は飼料が疑われており、行政院環境保護署(環保署)は早ければ今週中にも現地調査の結果を発表する方針だ。24日付自由時報などが報じた。

/date/2017/04/24/00egg_2.jpg問題の養鶏場3カ所で生産されたとみられる鶏卵を販売していた商店にも調査が入り、適切な管理を行うよう求められた(22日=中央社)

 ダイオキシンが検出されたのは苗栗県の合成批発行が扱っていた鶏卵で、卵液から脂肪1グラム当たり5.2ピコグラム(pg・1兆分の1グラム)の量だった。台湾の規制値は同2.5pgで2倍以上に当たる。

 合成批発行の鶏卵は彰化県の卵卸業者、王功蛋行から仕入れており、王功蛋行は「駿億」「鴻彰」「財源」の養鶏場3カ所から供給を受けていた。衛生福利部(衛福部)食品薬物管理署(TFDA)は21日、養鶏場3カ所と関連の卸売業者に出荷禁止を命じた。王功蛋行は合成批発行以外に桃園市や新北市の卸売業者に鶏卵を卸していたため、ダイオキシンに汚染された鶏卵が既に朝食店やレストラン、一般家庭に出回った恐れがある。

 TFDAの発表を受けて新光三越百貨は、台湾全土の店舗のスーパーマーケットから鶏卵を予防措置として撤去。太平洋崇光百貨(太平洋そごう)も彰化県産をすべて撤去した。一方、家楽福(カルフール)、大潤発(RTマート)、愛買(aマート)、全家便利商店(台湾ファミリーマート)、セブン-イレブンなどは、問題の養鶏場で生産された鶏卵は販売していないと表明した。

消費が2割減少

 ダイオキシン汚染の源について、現時点では飼料を疑う声が強い。台湾域内の飼料供給業者は4~5社で、原料の8割を海外からの輸入に頼っている。飼料が汚染されていた場合、影響は台湾の全養鶏場の半分に及ぶ恐れがあり、政府に飼料の管理強化を求める指摘も出ている。このため、TFDAは鶏卵のダイオキシン汚染の調査範囲を台湾全土に拡大することも検討している。

 中華民国養鶏協会によると、今回の事態を受けて台北市の鶏卵卸業者が彰化県からの仕入れを拒否するなどして、台湾全土の鶏卵消費量が2割減少した。彰化県は台湾の鶏卵生産の45%を占める。同協会は、問題が指摘された養鶏場は県内900カ所のうち3カ所のみで、大部分は生産履歴も調べられ問題ないのに、消費者は鶏卵購入にアレルギーを起こしており、鶏卵農家に影響が出ていると訴えた。

「過度の恐れは不要」

 中国文化大学の王淑音・動物科学系教授は、今回検出されたダイオキシンの量は多くなく、消費者は過度に恐れる必要はないと呼び掛けた。ダイオキシンは火葬場や廃タイヤ処理施設からも排出され、鶏卵のダイオキシン汚染が環境要因だった例がドイツやポーランドであると説明し、今回の問題でも汚染源の特定と今後の管理の在り方が重要だと指摘した。