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漁船乗客2人が海に転落死、連絡船不足で安全性置き去り


ニュース 社会 作成日:2017年4月26日_記事番号:T00070234

漁船乗客2人が海に転落死、連絡船不足で安全性置き去り

 澎湖諸島の西部に位置する小島、花嶼で先週、漁船が乗客21人を乗せて出港したところ、高波に見舞われて船体が大きく傾き、乗客2人が海へ転落して死亡する事故が発生した。漁船に船員以外の乗客を乗せることは法律で禁じられているが、花嶼では島の外へ出るための合法的な交通の便が極めて悪く、漁船利用が半ば黙認されていたことが事故の背景にあった。

/date/2017/04/26/18kakomi_2.jpg事故を起こした聯得利2号。この大きさで21人もの乗客を乗せていたのはいかにも危険だ(中央社)

 澎湖諸島周辺の海上警備を担当する海岸巡防署(海巡署)第七岸巡総隊よると、22日午前5時30分ごろ、19トン級の漁船「聯得利2号」から花嶼の窓口に対し、乗客を乗せ、澎湖本島の馬公港へ向けて出港するとの報告を受けた。これに対し当局者は違法行為に当たると忠告したものの、聞き入れられず、黙認するしかなかったという。

 その結果、聯得利2号は出港して外海に出た約30分後、船体が90度傾くほどの大波に襲われ、72歳と61歳の男性が海に転落。あわてて船の上に引き上げたものの、既に息をしておらず、花嶼へ緊急帰港して電気ショックを施したが蘇生しなかった。また他にも69歳と52歳の乗客が頭部裂傷や骨盤の一部骨折が疑われるけがを負った。

 なお、澎湖本島周辺には90の離島が存在し、このうち住民が居住するのは13島のみだが、人口は合計2万人に上る。しかし、これら離島を結ぶ合法的な連絡船はわずか8隻しか運航されておらず、特に澎湖県望安郷に区分される花嶼や東嶼坪、東吉嶼といった島では2日に1度しか船が来ない不便さだ。

 このため、違法にもかかわらず漁船が乗客を乗せて他の島へ運ぶ行為が常態化し、島民にとってなくてはならない交通手段となっていたようだ。しかしその反面で安全が置き去りにされ、今回の事故につながったと言える。

 死亡事故発生を受けて澎湖県政府は、離島の交通の便を高めるため、漁船の交通利用を合法化する特別規定を設けた上で、管理と安全教育を強化していくとの方針を示した。